012 | ザ・不二家

012

不二家、洋菓子販売休止 賞味期限切れアップルパイ、期限偽造プリンも出荷

2007年1月12日06時00分

大手菓子メーカー「不二家」の埼玉工場(埼玉県新座市)が消費期限切れの牛乳をシュークリームの製造に使っていた問題で、同社は11日、品質管理の徹底を図ることができるまで、洋菓子5工場の操業を休止し、全国の不二家チェーン店(約890店)での洋菓子販売を同日から休止すると発表し、謝罪した。賞味期限切れのアップルパイや、賞味期限を偽造したプリンを出荷していたことを発表。老舗洋菓子店が窮地に立たされた。

 全国の不二家の店頭から、シュークリームがショートケーキがモンブランが、消えた。不二家銀座店のショーケースには、カバーがかけられた。店頭で寂しそうにたたずむペコちゃん。隣にはおわびの文書が張り出された。

 10日に消費期限が切れた牛乳を原料としたシュークリーム約2000個を製造、1都9県に出荷していたことが発覚した不二家。埼玉を含め全国にある洋菓子5工場の操業を休止、約890ある不二家チェーン店での洋菓子販売を休止した。

 東京都中央区の本社では藤井林太郎社長らが会見。昨秋からの調査で、埼玉工場ではほかにも〈1〉期限切れ牛乳を7回使用〈2〉アップルパイなどに使っているりんご加工品の賞味期限切れを4回使用〈3〉プリンの消費期限を1回、社内基準より1日長く表示〈4〉細菌検査で出荷基準に満たない「シューロール」を出荷した―ことを明らかにした。

 期限切れの牛乳は、元社員でパートとして再雇用された60代男性が使用していた。藤井社長らは「古くからの職人なので、消費期限を自分で判断できるとの甘さがあったと思う」と説明。

 いつごろから期限切れの牛乳を使っていたかはわからないという。期限切れの牛乳は排水口に流すことができない規則になっているが、どのように処理するかの取り決めは社内になかった。

 また、昨年11月に問題を把握しながら公表を見送ったことについて、藤井社長らは「考えが甘かった。隠ぺいのつもりはなかった」と釈明した。

 休止した洋菓子部門は売上高全体の約3割をしめる主力事業。1日休止するごとに平日で6000~7000万円、休日で1億円前後の減収要因となる。また、ブランドイメージの失墜も必至。社長の責任問題や、幹部らが恐れる「(グループ解体に追い込まれた)雪印乳業の二の舞い」に陥る可能性すら否定できない状況だ。