理由と逃げ

理由と逃げ


わしは、大学を卒業してから動物病院に勤務した。
今から24年前は、勤務というより見習いじゃった。


その当時は1日14時間勤務で週休1日じゃった。もちろん残業代もなく、手当もなく、有休もなく、超安い給料じゃった。


その当時はそれが当たり前じゃった。


その時は、こんな給料で、こんな勤務状態で、こんな休みで、丁稚奉公で、こんな病院が悪いんじゃ、院長が悪いんじゃと、人のせいにしとった。自分で決めて勤務したのに。ウケる～。笑える～。


ましてや院長やマネージャーに直談判したり、交渉したり、文句を言ったりせんかった。


嫌なら直接いや～ええじゃないか～。そん時はビビって言えんかった。


病院を辞める理由として、給料が安い、勤務体制がひどい、休みがないと、他人に病院を辞めるのにあたかも正当な理由と思われるような理由をつけとった。


それは、単に逃げとるだけ。文句も言わんと逃げとるだけ。
 

もっともらしい理由をつけて、同情を誘い、そんな病院ひどいんだから辞めて当然なんだと自分を正当化して、他人から見て自分に非がないようにして、自分が病院を辞めることでなんか言われんようにいかにも正当な理由をつけて逃げる。


辞めたいから辞めるだけでええのに、最もらしい理由をつけてあーでもないこーでもないといって逃げる。


辞める以上自分で責任をもって「辞めます」って辞めりゃ～ええだけなのにいかにも相手が悪いけ～辞めるんじゃ～と相手のせいにして逃げる。


「辞めるなんて無責任じゃ」「治療途中の動物を見捨てるなんてひどい」と言われても、そりゃわしが辞めたいことを選択したんじゃけ～、言われることも受け入れりゃええんじゃけど、言われとうないけ～あたかも正当な理由をつけて逃げる。


これを無意識にやっとるけ～怖い。あたかもそれが当然じゃ思うとった。怖。


こういう「逃げる」ことをしとるとどこで仕事しても同じことになる。


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