ふと立ち止まった。
この街に住んで十数年。
日々、毎日を生きるのに精一杯の状況のもと、あれこれしてきた。
バタバタし続けていると、表面の現象しか捉えないまま、時間が過ぎていく。
時々、バタバタをやめて、立ち止まることが必要だ。仏像の立像のように。
すべてのものは移ろい行く。
変わらないものは何一つない。
あの頃いつも立ち寄ったあの店、この店、あの頃よく話していた人たち、あの頃の街並み、みんなみんなどこに行ってしまったのだろうか。
並行する無限に重なる異次元には、あの頃の懐かしい人たちや、懐かしい場所が存在しているのではないか。
幾分感傷的になった。
そして、また前を向いて歩き始める。
今の世界、今の場所、今関わりのある人たちを、大切に、慈しみながら、歩こう。