『舟越桂展によせて』 教会とカフェ | 行雲流水

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『教会とカフェ』

舟越の画文集『言葉の降る森』によると
イギリスのピカデリーの教会を改装した喫茶で
モデルに頼んだ男の像だと書いてあり
モデルが実存しているのだと解る
『美男子ではないが若く穏やかでいい自信に満ち包み込むような表情』
のモデルだと彼は記している
しかしデッサンのモデル像と木彫のモデル像には落差がある
ミサの前後がまず書いていない
多分、ミサが終了して彼はコーヒーか紅茶を
ゆっくり味わいながらイスに座って安息に浸っていたはずだ
デッサンの像は本当に若々しく初々しい
木彫は穏やかでいい自信をさらに強調している
そのため少し年齢を上げて眼鏡をかけた木彫に
仕上げたのではないか
しきし迷わない人間等存在しない
必ず分岐点がありその岐路で立ち尽くし惑う
僕たちが神を必要とするのは
人間だからだ
大きな波も来るだろう
小さな波も来るだろう
穏やかさは神を持つ人にとって
若かろうが年配であろうが共通の表情に
僕は見える
自分を愛するように他人を愛することが出来る
人の表情が彼にも備わっている