限り無く文系に近い理系の俺は、
体育会系が苦手です。
「極端な話、
仕事なんて、どうだっていい、って事なんだな。
何のため生きてるか、
って言うと、
人間を成長させるために、
生きている訳だから。…」
は?…
みたいな本当に、
極端な話をする社長だった。
そのせいか、
部下にも、面白い人がいて、
営業部長だった人は、
二十歳の俺をつかまえて、
用を言いつけては、
「それは、子供のお使いでしょ?!。」
と言うのが、口癖だった。
言われたことを、
ちゃんとやっているのに、
(…なんで、そんなこと言われるんだろう?)
入社してから、
夜間の理系の大学に通うようになり、
実験のレポートに手が回らなくなって、
会社を辞めるまで、
ずっと、言われ続けて来た。
その意味が分かったのは、
10年以上経ってからだった。
『それは、子供のお使いでしょ。
仕事をする、って言うのは、
そういうことじゃないでしょ?。』
このフレーズは、
話した人に受けて、
真似して使われたりした。
言われた事だけするのは、
子供のお使いと同じこと。
仕事は、自分で見つけて、
自分で考えて、
自分で動くこと、
基本的なことだけれども、
その頃は、さっぱり、
意味が分からなかった。
しかし、
耳にタコができる程、
言われ続けて来たので、
いつも、心の中にあった。
営業部長は、
俺を鍛えるために、
言い続けてくれた。
そのお陰で、
ちょっとは、マシな、
仕事ができるようになったんだと思う。
あと、7日。
団体客が入って、
自分の世界に浸り切って、
悦に入っている調理長の怒鳴り声を聞きながら、
ジョンと二人、
ストレスに疲れ切りながらも、
楽しくやってます。