大阪大学の井出草平先生のツィート
(https://twitter.com/Sohei_IDE/status/1432148703179988996?s=20)で、久里浜医療センターの樋口進氏がゲーム障害の有病率調査の論文を発表されたということを知り、さらにこの論文が厚労省による委託事業であるとの情報もありましたので、早速厚生労働省から話を伺いました。
厚生労働省の担当者からの話によると、
・樋口氏の論文は、委託事業ではなく、補助事業のデータを用いて執筆されている。
・樋口氏の論文では“prevalence”という単語が用いられているが、論文の内容から日本語に訳した場合「ゲーム障害が疑われる者の割合」が適切であり、有病率と訳すのは適切ではないと考えている。久里浜医療センターに対しても、数字の出し方等については適切な対応が必要である旨伝えていく。
・スクリーニングテストとして今回の研究で作成された「GAMES-test」については、「ゲーム障害が疑われる者」を見つけ出し、適切な診断を受けるための尺度として活用できる可能性があると考えている。
・厚生労働省としてはゲームを規制しようとは考えておらず、一方で、「ゲーム障害が疑われる者の割合」の多寡に関わらず、ゲームの問題で困っていらっしゃる方々が相談につながることのできる体制整備が必要であると考えている。
ということが確認できました。
その上で私からは、
・井出先生が指摘されるように、「GAMES-test」では、「ハードゲーマー」と「病的なゲーマー」の区別ができず、「依存症予備軍」的な括りをされてしまう懸念がある。
・厚労省が税金を出している事業の論文であり、一般の方からは厚労省の見解と見なされてしまう懸念がある(これについては「補助金として税金を出す=政府の見解と同一」というわけではないことは、理解する必要があります)。
・厚労省の依存症対策の担い手が久里浜医療センターに偏っているように思われるため、幅広い知見を集める必要がある。
ということをお伝えしました。
今後も厚労省とは丁寧に連絡を取りながら、適宜、情報を共有していただき、ゲーム規制のような動きとならないようにしていきます。
(厚生労働省担当者とのオンライン会議。有識者として、AFEE編集委員の中谷基志さんにも参加いただきました)