歩けば長生きできるの?
(https://jamanetwork.com/.../jamanetwo.../fullarticle/2852597)元阪大教授 宮坂昌之先生のFacebookからの引用です。台湾で、2015-2016年に65歳以上の人(約1万3千人;女性62.5%)におけるフィットネスの程度を測定し、その約10年後(2025-2026年)に死亡率を調べ、両者の相関度について分析したものです。実際に調査したのは以下の5項目(1)下半身の筋力(30秒間で「完全に立ち上がって、また座る」という動作をできるだけ早く、何回繰り返せるかを測定)(2)バランスと敏捷度(バランスは片足立ちできる時間を測定、敏捷度は椅子に座り、8フィート(約2.4メートル)先の目印のところをぐるっと回って再び椅子に座るまでの時間を測定)(3)心肺能力(2分間ステップテスト:その場で2分間足踏みをして、膝を一定の高さまで上げた回数を測定)(4)柔軟性(バックスクラッチテスト:肩関節の柔軟性を評価、体前屈:座った状態で前方に手を伸ばし、体の柔らかさを評価)(5)総合的フィットネス指数(上記の1-4を総合的に評価したもの)下半身筋力、バランス、敏捷度ともに、成績のもっとも低い群がその後7年間の累積死亡率がもっとも高めであり、一方、成績が良くなるほど死亡率が低くなるということが観察されました。そして、上記項目を合わせた総合フィットネス指数においてはこの傾向が特に明らかであり、調査後7年目の死亡率を見るとフィットネスの度合いがもっとも高かった人たちはもっとも低かった人たちと比べて2.5倍もの差があったことがわかりました。この結果は被験者の共存疾患(同時に持っていた疾患)を調整した後でも変わらず、この調査においては「高齢者ではフィットネスの程度が高いほど、死亡率が低くなっていた」という結論となりました。ただし、これは身体的フィットネスと死亡率という二つの相関を見ただけなので、二つの因果関係はわかりません。ただ、フィットネスの程度と死亡率が調査項目のどれにおいても相関していたというのは注目すべきことです。この結果を見ると、高齢者の場合普段から積極的にからだを動かしておいたほうが良かろうということになります。もう一つ注目すべき報告があります。専門誌British Journal of Sports Medicineに、オーストラリアの研究グループがUK Biobankのデータを解析することにより、先の論文よく似た結論、すなわち「早死に防止のためには、毎日の歩数や歩くピッチ(1分間の歩数)が重要な役割を果たす」ということを示す論文を発表しています(https://bjsm.bmj.com/.../bjsports-2025-111173.citation-tools)。次のことがわかります。① 座りがちな人(1日5千歩未満)であっても歩行ペースを速めると、死亡リスクが低下する。② ゆっくりとして歩行ペースを好む人でも、1日5,000-7,500歩を歩くと、死亡リスクが下がる。③ もっとも死亡リスクが低いのは、1日7,500-10,000歩歩く人たちである。④ 1日の総歩数に限らず、より早い歩行ピッチを維持することは、早死にを予防することにつながる。また、以上の結果は心血管疾患死亡率で見ても、ほぼ同じでした。つまり早死に防止のためには、一日の歩数も歩くピッチ(1分間の歩数)も、どちらも大事であるということになります。年々歩くのが遅くなってると実感している私には刺激的な内容です。さあ!