歩くと認知症になりにくい?
「タウ」はアルツハイマー病などの神経疾患では脳内に蓄積して神経細胞を障害します。そのため認知症の原因たんぱく質の一つと考えられています。神経細胞の外側に溜まる「アミロイドβ」に対し「タウ」は神経細胞に内側にあるたんぱく質。よく歩く人ほど認知機能が保たれると世間一般ではよく言われます。「5,000歩から始めるアルツハイマー病予防」などのフレーズもしばしば見かけますが本当でしょうか?認知症予防における「身体運動」の重要性はこれまでも繰り返し指摘されてきましたが、そのメカニズムはよく分かっていません。昨秋にNature Medicine誌に掲載されたマサチューセッツ総合病院(ボストン)からの報告です。本研究では身体活動がアルツハイマー病に及ぼす影響をPET-CTを用いて解析。296名の認知機能正常の高齢者が対象。歩数計によって測定した1日の平均歩数と、「アミロイドβ」および「タウ」のPET画像を最大14年間追跡。対象者の平均年齢は72歳で追跡期間の中央値は約9年です。http://news.berkeley.edu/2016/03/02/pet-scans-alzheimers-tau-amyloidより【結果】身体活動量が多い人ほど認知機能および日常生活機能の低下が遅く、特に脳内「アミロイドβ」高値群ではこの効果がより顕著でした。身体活動は「アミロイドβ」の蓄積そのものには影響を与えず、「タウ」の蓄積を抑制。「タウ蓄積の抑制効果」は身体活動と認知機能低下との関連の約84%を媒介していました。つまり「よく歩く人ほどタウの蓄積が抑えられ、結果として認知機能が守られる」ことが定量的に裏づけられました。歩数との関係を調べると、1日5000〜7000歩の中等度の活動で効果が最大となり、それ以上歩いても効果は頭打ちになることが示されました。この「5000〜7000歩」という目標は,高齢者でも達成可能であり、アルツハイマー病予防における行動指針として実践的な意味を持つと考えられます。お散歩は安上がりで、かつ強力な認知症予防と言えそうです。前臨床アルツハイマー病における身体活動を修正可能なリスク因子として|ネイチャー・メディスン