この手紙があなたに届くのかわかりません。

記憶のなかの町名とアパート名を頼りに

GoogleMapであなたの部屋を調べました。

見覚えのある場所はあったけれど

住所がこれであっているのか

部屋番号がいくつだったのか

思い出せません。

あなたが今も住んでいるかも

わたしは知りません。

きっと手紙は届かないでしょう。

 

 

あなたに電話をしました。

電話が通じなかったから

着信拒否になっていたから

こうして手紙を出すのは

ルール違反だと思いましたが

わたしがあなたにルール違反をするのは

これが初めてではありません。

 

 

体調はいかがでしょうか。

あの頃よりあなたが

元気であればいいな、と思っています。

 

電話をしたのは

離婚をしたことを伝えたかったからです。

でもそれは口実です。

離婚をしたのは数年前です。

あなたは覚えているかわかりませんが

最後の電話で

私は自分自身で幸せになる、と言いました。

 

今の私は

悩みや心配事がない訳ではありませんが

今の自分が好きです。

それは幸せということなんだと思います。

 

 

もう随分前、SNSを閉じるとき

書いたものを大半は削除したのですが

ごく一部をブログに移して

非公開にしていました。

ときおり追加をすることもありました。

 

何年も忘れていたのですが

この間アカウントの整理をしていたときに

非公開のままのブログを見つけました。

ポエムみたいな雑記です。

 

急にいろんなことを思い出しました。

このまま忘れちゃってもいいかな、とも

思ったのですが

もう少しだけ覚えておきたいな、と思って

あの頃のことをブログに書いています。

今はそれを公開しています。

なんだか不倫妻のブログみたいに

なってしまいましたが

まあ元々、不倫妻でしたから。

 

久しぶりに記事を書きながら

FPMやテイトウワを聴いていたら

なんだか苦しくなってきました。

あの頃のことが甦ってきて。

そうしてあなたに電話をしたくなりました。

 

 

あなたと別れたあと

私には恋人ができました。

今もそのひととお付き合いしています。

仕事も資格を取りました。

業界内で少しは大きな顔が

できるようになりました。

 

 

生き方が顔に出ると思って生きてきたけれど

私は今でも真面目そうな顔つきをしています。

あなたに昔、貞淑か淫乱かと言われたけれど

どちらなのか私にもわからないままです。

 

 

あなたが私のことを

少しでも覚えてくれているといいな、と

思っています。

胸の痛みとともに

思い出してくれれば嬉しいです。

 

                       小夜子