わたしは今のあなたに興味はありません。
最初にそれを申し上げておきます。
あなたと別れた後はとてもつらかったけれど
すぐに恋人ができました。
今もそのひととお付き合いをしています。
静かな日々です。
安心できる場所を見つけました。
自分のことが好きでいられる日々です。
車に乗るときに音楽をかけると
胸がちくりと痛むくらいのことは
ありましたが。
ことの発端は昔のアカウントを
見つけたことのように思います。
私はあの場所から去るとき
以前の記事のごく一部をあるブログに
非公開で移して保存していました。
ポエムのような雑記です。
時折追加をすることもありました。
4年後にあなたから電話があったときなどに。
そのまま何年も忘れていました。
幸せなときには
ポエムは書かないものなのですね。
知らなかった。
先日、アカウントの整理をしていて
それを見つけました。
奔流のようにあの頃のことが甦ってきました。
もう忘れてもいいことですが
もう少しだけ、覚えていたかった。
新しくブログを作りました。
あの日々を思い出して書きました。
あの頃の知り合いに見せるつもりなど
ありませんでした。
私にとっての喪の作業でした。
古い恋の弔い。恋の墓標。
あなたの名前をリュウさんにしたのは
ちょうど読んでいた小説の登場人物からです。
あなたが結婚していたことを知ったのは
その後でした。
エスプリが効いて、悪くない話です。
あなたの奥様はいま
あの頃のわたしと同じような年齢なのですね。
あなたの奥様は
今もわたしの隣接業界で
働いているのでしょうか。
わたしの業界よりもさらに狭いあの業界で。
今のあなたにどれだけの効き目があるか
わからないけれど
あなたのご実家に電話をかけることは
今もわたしにはできます。
もう、何をする気も起きませんが。
あなたと別れたあとはあなたを憎んでいた。
私が誰かを憎むのも、初めてのことでした。
4年後のあなたからの電話のあと
あなたは私にとって
「どれだけ憎んでも飽き足らない人」の座から
滑り落ちました。
どうでも良くなった。
でも、あなたを忘れるには
まだ時間が足りなかったみたい。
今のあなたには何も思うところはありません。
でも昔のあなたに
あのとき言えなかったことを
言うこともできないし
そうしたら今のあなたに
それを伝えるしかないでしょう。
この苦しさは過去の亡霊です。
六条御息所のような。
この苦しさを手放せたら
わたしは指輪をくれた恋人のもとへ
戻ることができる。
そうしないとあなたが教えてくれたあの曲が
ずっと耳から離れなくて苦しい。
引き際が綺麗な女のほうが
上等なことは知っていますが
わたしはそうではありません。
あなたがこれを読んで
ほんの少しでも苦しんでくれたら
とても嬉しいです。
もう、さよならもいらない。