ふたりで外で会ったときのことです。
大きなターミナル駅で待ち合わせをしました。
彼は、自分はしょっちゅう
職質を受けるのだと話しました。
俺は職質顔だから、と。
この駅でもいつも声をかけられる。
彼はそう言っていました。
もし、ここで声をかけられたらどうする?
2人のご関係は、って聞かれたら?
彼は、友人です、って答えればいいんだよと
言いました。
わたしはその答えに少し不満でした。
何事もなく駅を出ました。
職質、受けなかったね、と彼に言いました。
一緒にいるひとがきちんとしてるからな。
彼がそう答えました。
わたしは職務質問を受けたことがありません。
冬に名古屋の栄で
小規模なオフ会がありました。
その頃にはもうSNSへの熱は冷めていましたが
姉さんには一度会いたかった。
リュウさんもオフ会に出ると聞いていました。
リュウさんと秋に別れたトモミも。
姉さんとトモミに会うのは
わたしは初めてでした。
ほかにも数人が同席したと思います。
東京のカメラマンのひとと
あとひとりかふたり。
わたしはリュウさんに
事前に連絡をとりました。
オフ会のあと二人で会えないか、と。
週末でしたが次の日は
どうしても休めない仕事がありました。
わたしはホテルをとって
翌朝はそこから直行するつもりでした。
一晩家を空ける口実も考えました。
リュウさんはその話に乗りませんでした。
オフ会で騒ぎたかったのか
姉さんと話がしたかったのか
理由はわかりません。
わたしはオフ会を早めに抜けました。
明日は仕事が早いからと言って。
姉さんは、休めばいいじゃない、と
あっさりと言いました。
わたしは姉さんの顔を見られたから
もうそれでいいです、と席を立ちました。
その日わたしとリュウさんは
ほとんど話をしませんでした。
リュウさんの笑い声を背に
わたしは店を出ました。