リュウさんとふたりきりで

会うようになってからのことです。

 

わたしはリュウさんとのことを

誰にも話しませんでした。

 

昼間は仕事をして

子どもたちの世話をして

夜はSNSにログインして

仲間たちの雑談を眺める。

適度に自分の近況を伝える。

 

次第にわたしはそれが苦痛になってきました。

 

ただの綺麗な片思いであれば

ぼんやりとそれを吐露することもできました。

でも、そうではなくなってしまった。

 

家では何年も本当の気持ちを話すことが

できませんでした。

ようやく自分の気持ちを打ち明けても

いい場所ができたと思ったのに

そんな場所を見つけることができたのに、

そこで出会ったひとへの思いを

打ち明ける場所はもう

わたしにはありませんでした。

 

 

わたしは自分のSNSに

自分の気持ちを吐き出しました。

彼とのこと、自分の感情。

次々と書きました。

あふれて止まりませんでした。

記事はすべて非公開にしました。

 

誰の目に触れなくても

画面越しに自分の感情を見ることで

痛みは少しだけ和らぎました。

 

SNSの仲間たちは

小夜子の最新記事更新の通知が届くのに

記事が見えない、と言い出しました。

わたしは黙っていました。

察しの悪いひとたちだと思いました。

 

 

SNSの空間にいることが

次第に苦痛になっていました。

それでも

リュウさんの動向をSNS越しに確認するために

わたしはその場に留まっていました。

リュウさんはわたしに

安心をくれることはありませんでした。