リュウさんが私に言ったことがありました。

 

俺は小夜子の家庭が続くために

小夜子が安心できるように

支えられればそれでいいんだよ。

 

確かにそれは

彼の本心のひとつだったのだと思います。

彼は私を夫から奪う気はありませんでした。

彼は奪われた側のひとでしたから

自分が奪う側になってしまったことに

ずっと苦しんでいました。

 

私を支える、という考えで

少しでも自分の苦しみを

和らげていたのかもしれません。

結局、彼との関係で

私が安心できるときなどありませんでしたが。

 

 

今の私の恋人も

私が結婚している期間

同じようなことを言いました。

私の恋人も

夫から私を奪う気持ちはありませんでした。

 

その代わり恋人は私に安心をくれました。

彼の部屋に通うことで

私は結婚している期間

息をすることができたように思います。

 

 

私は誰に奪われるわけでもなく

自分で離婚を選びました。

 

今の恋人には離婚するときこう言いました。

離婚するつもりだけれど

あなたのためにするわけではない。

 

冷たいような言い方ですが、本心でした。

夫から今の恋人に寄生先を変えるような、

所属先を変えるようなことはしたくなかった。

 

 

私と恋人の関係は今も続いています。