こどもの運動会がありました。

 

わたしはPTAのお手伝いで

来賓の方にお茶出しをしたり

お弁当の手配をしていました。

 

夏のような強い日差しの下

エプロンをして

日差しよけの帽子を被って

立ち働いていました。

ここがわたしのいるべき世界なのだと

思いました。 

 

家に帰ったら

スマホを水に沈めようと思いました。

柔らかく華奢な下着を

すべて捨てようと思いました。

 

校舎と

校庭に張り巡らされたテントを往復して

知り合いのお母さんたちに

曖昧な笑顔で応えているうちに

わたしのこどもの出番になっていました。

 

裸足で一列に並ぶこどもたち。

ちらちらとわたしを見る、わたしのこども。

軽快な音楽が流れて

わたしのこどもがわたしの前を走り抜けます。

 

強い風が流れて

校庭の砂が舞って

いま、あなたはなにをしているのだろう。

 

仕事をしているのか

あの部屋でひとりで音楽を聴いているのか。

 

 

わたしは、小学校の校庭で

母親ではない顔で

立ちすくんでいました。