30手前の失業中の男性サリィと
私と同じ35歳の人妻マキと一緒に
遊びに来ないか、と
私はリュウさんに誘われました。
4人とも名古屋のオフ会で
顔は合わせていました。
名古屋のオフ会では
リュウさんが仕事で遅れたこともあり
十分に話ができなかったから
うちに来ないかと彼は私を誘いました。
ほかの2人にも連絡すると。
ほかの2人は行くでしょう。
私がいちばん、ガードが固く怯えていました。
一度会ってはいるけれど
やはり男性の家に行くのは
不安と罪の意識がありました。
集団で居酒屋に集まるよりも
危険があると思いました。
それでも、リュウさんに会いたい気持ちが
優っていました。
マキとサリィから
ぜひリュウさんのところに遊びに行こう、と
度重なるメッセージが来たこともあり
私は再び夫に嘘をついて
リュウさんの家に
遊びに行くことを決めました。
なぜリュウさんは
その3人を選んだのでしょう。
サリィは穏やかな男性で
リュウさんの弟分でした。
サリィはSNS仲間の
アオイという既婚女性に恋をしていました。
マキは猫を飼っていて
SNSもその猫を中心に記事をあげていました。
一方で既婚者であるマキも
リュウさんに恋をしていました。
リュウさんは
自分に恋をしている人妻2人をはべらせて
楽しくお酒を飲みたかったのでしょう。
自分の言いなりになる3人を肴に
屈託のない時間を過ごしたかったのでしょう。
8月の暑い日でした。
特急電車を乗り継いで彼の家に向かいました。
サリィとマキと途中で合流しました。
マキがジーンズに下駄を合わせていたのを
覚えています。
マキは背が高く長い髪の華やかな美人でした。
最寄りの駅までリュウさんが
車で迎えに来てくれました。
彼の車は2ドアでした。
彼の車の後部座席に私が乗り込むとき
私の着ているサマーニットとジーンズの間から
私の腰が覗いてしまって
そこに彼の視線が注がれているのを
私は感じ取っていました。
ふと、
このままどこかに連れて行かれて
動画を撮られる可能性もあるのかもしれないと
そんなことが頭をよぎったことを
覚えています。
彼らを信じる気持ちと
一般的な知識は別に存在していました。
私はひどくお酒に弱く
缶チューハイだけでふらふらしてしまいます。
SNSでもよくそれを
私はからかわれていました。
彼の家で他愛のない話をしながら
次々とお酒の缶を空けて
空き缶がどんどん増えて。
リュウさんが流したDVDは
もう誰も観ていませんでした。
気がつくと私は
彼のパソコンの画面を眺めていました。
私は彼の膝の上にいました。
酔いが回り床にくったりと座っていた私を
椅子に座っていた彼が
自分の膝の上に引き上げたように
記憶しています。
最初、私は身をよじって
嫌がったようにかすかに記憶しています。
やがてリュウさんの身体の変化を
感じ取った私は
狼狽えるリュウさんの膝の上で
くすくすと笑いました。
私にとってリュウさんは憧れのひとでした。
でも彼も女性の肌に視線を向け
膝の上に女性が乗れば反応する。
少しおかしかった。
同時に、リュウさんが私のことを
女性として認識していることに驚くとともに
少し誇らしく思ったのかもしれません。
そのとき 不意に
リュウさんにキスをされました。
私はひどく驚きました。
私はリュウさんにとって
そのような対象であるとは
思ってもいませんでした。
同時に、この大切な記憶が
酔いとともに失われることを
とても寂しく思いました。
私はこう呟いたことを
はっきりと覚えています。
「酔っちゃったから、今日のことを
明日になったら全部、忘れちゃうのよ。
つまらない。」
「俺が2人分、覚えているよ」
彼はそう言いました。
その時、ほかの2人がどうしていたのか
覚えていません。
おそらく同じ部屋にいたのでしょう。
ほかに覚えているのは
マキと口論をしたこと。
マキもリュウさんとキスをしたようです。
私はマキに
「キスなら私もしたもの」と言うと
「キスくらい、誰とだってできるよ!」
そう言うと、マキは私にキスをしました。
柔らかな唇と舌でした。
サリィとも私はキスをしたかもしれません。
お手洗いをお借りしたとき
洗面所でリュウさんが
私を待っていたように思います。
私は洗面所で
リュウさんにフェラチオをしました。
ほんの少しだけ。
途中でやめて「続きは今度ね」と
微笑んで彼に言ったことは覚えています。
そのあと私はリュウさんとトイレにいました。
私のジーンズのボタンに
手をかけるリュウさんを
ぼんやりと見ていました。
不意に、これだけは言わなくては、と思い
「私、夫しか知らないの」と彼に伝えました。
リュウさんは驚いたようでした。
「旦那ひとすじか」と呟いて
私を離してくれました。
あのとき私がどうしたかったのか
思い出すことができません。
怖気づいたような気もします。
現実に自分の身に起こっていることを
認識できていなかった気もします。
おそらく
自分で決めることができなかったのでしょう。
その日、私は3人の前で
夫に誘われるのが恐いと泣いたそうです。
夫に抱かれるのがいやだと。
その話をしたことは覚えていませんでした。
翌日にリュウさんが電話で
そのことを教えてくれたとき思い出したのは
マキが「わかるよ」と
肩を抱いてくれた場面でした。
夜遅く、私達は駅まで送ってもらいました。
リュウさんが
「酒は気狂い水って言うけど本当だな。」と
ポツリと言いました。
私は酔っていて鞄の中のSuicaが出せず
サリィに鞄を渡して
Suicaを出してもらいました。
マキは駅に着いた後どこかへいなくなり
リュウさんが探しに行きました。
その間に私とサリィは電車に乗りました。
リュウさんとマキが
その夜どうなったかは知りません。
その後リュウさんには
マキを見つけて宥めて電車に乗せた、とは
聞きましたが
それが本当かはわかりません。
リュウさんは生花関係の仕事をしていました。
帰りにカラーの花束をお土産にと
私に渡してくれました。
私はサリィにもたれかかって少し眠りました。
乗り換え駅でサリィと別れた後
私は電車の座席に
わざとカラーの花束を置いていきました。
酔いは少し覚めていました。