NHK朝ドラ「エール」も終盤を迎えました。主人公の小山裕一は作曲家。戦時中、国民の戦意高揚につながる「軍歌」を作曲しました。「暁に祈る」は出征する恩師の先生を思い作曲しましたが、ビルマ戦線インパール作戦の慰問中に恩師の先生が目の前で戦死。「若鷲の歌」を聞いて予科練に入隊した懇意にしていた少年も戦死。主人公は、作曲で戦争に駆り立てた自分を責めます。戦後、長崎の被爆の状況を書いた医師の随筆をもとに歌謡曲「長崎の鐘」がつくられ主人公が作曲しました。戦争の苦難をうけとめ復興への希望が込められています。戦争を反省し、平和な社会を築くことが戦後の日本の歩みの原点です。

 ところで、2017年に国連で採択された「核兵器禁止条約」が発効に必要な50か国の批准に達し、90日後の来年1月22日に発効することになりました。核兵器の製造、保有や使用などの禁止が国際的なルールになります。世界中で草の根の核兵器廃絶を願う運動の努力の結晶です。被爆国である日本の政府が批准しないことは、本当に残念なことです。日野町議会においても9月議会で「核兵器禁止条約への署名・批准を求める請願」が与党系議員の「反対」によって採択されませんでした。引き続き、核兵器廃絶に向けた運動と世論を広げることが必要です。

 「戦争への反省」といえば、日本学術会議の会員任命拒否問題があります。先の戦争で、科学者や技術者が戦争に協力したことを反省し、政府から独立した機関として日本学術会議がつくられました。政府に「盾突く者」は排除する、法解釈を勝手に変更する、十分な説明をしないなど民主主義を踏みにじることが続いています。

 菊の花がきれいに咲きだし、コスモスが秋風に揺れています。11月3日は文化の日、日本国憲法公布の日、二度と戦争をしないと誓い、自由と平和を愛する文化国家の建設をめざした戦後の歩みを逆戻りさせず、しっかりと前に進めてゆきましょう。