今回は、補助金活用が上手くいった「近江日野商人ふるさと館」での、補助金活用の話です。

 

 

ふるさと館を町で取得して、残してほしいという要望が、地元から強く出されました。

 

しかし、建物を取得することは、維持費もかかることから、大変、悩みました。

 

ですが、ここで繋がなければ、日野の歴史的な建物の一つが失われると考え、ふるさと館の取得を決断しました。

 

他に、

 

・町誌の編纂で寄せられた古文書などを保管

・伝統料理の継承

 

という課題もありましたから、

 

ふるさと館を町が取得して、土蔵を活用した古文書の保管ができますし、ふるさと館という場所を使っての、伝統料理の継承もできると考え、購入することにしました。

 

しかし、土地や建物の取得にかかる費用を、補助するための国の事業が、当時はありませんでした。

 

かといって、町の費用だけで購入するのは厳しいなあ、と悩みました。

 

11月のある日、首長を対象とした研修会に参加。

 

内閣府の課長から、補助事業の説明がありました。

 

それは、「既存の補助事業の対象とならないもので地域の活性化につながるものを補助対象とする」というものでした。

 

「これだ!」と思い、さっそく夜の懇親会では、内閣府の課長の隣にピタリと座り、杯を重ねました。

 

日野町やっている田舎体験などを話し、地域の活性化に役立つ施設の購入や改修を補助対象にならないかと尋ねました。

 

すると、「いいですね!」と、かなりよい返事がいただけました。


 

私:1事業どれくらいの補助金ですか?

 

内閣府の課長:基本は事業費3000万円で1/2補助で1500万円です。

 

私:もっといけませんか?

 

内閣府の課長:予算枠があるから大丈夫。

 

と、さらに多額の補助金を引き出せそうな回答を得たのです。

 


早速11月中旬、町役場の職員と一緒に内閣府を訪問し、事業説明しアドバイスを受けました。

 

そして、補助事業のもととなる「地方再生計画」を作成し、総事業費1億2千万円の「地方再生計画」を提出したのは12月の仕事納めの日でした。

 

1月に国の審査があり、2月には補助の採択の通知が来ました。

 

11月にキャッチした新しい補助金のチャンスを生かして、6000万円をゲット。

 

その後、農林水産省の補助を受け伝統料理の継承するための厨房の改修費の補助金もゲット。

 

この時に、実は、国に予算の残額があり、国は、さらに補助金事業を進めたい思いがあることをキャッチしたため、

 

11月に国の説明を聞いた当初は、基本3000万円上限の補助金であったにもかかわらず

 

6000万円の補助金を受けることに成功し、1億2千万円の事業を行うことができたのです。

 

国の予算の状況や担当者の思いを掴み、日野町としてやっていけることをしっかりとアピールする。

 

これが、私が補助金を取ってくるのがうまい、といわれる理由の一つだと思います。

 

ふるさと館をめぐり悩んでいただけに、1億2千万円の補助事業ができたことは、

 

「やったあ!」と思いました。

 

そして、補助金が引っ張ってこられると分かっている、ふるさと館にまつわる事業計画を、当時の議会に承認をお願いしました。

 

町の費用を使わずとも、これだけの補助金を活用できる事業にもかかわらず、議会多数派の議員の方からは反対の声もありました。

 

否決はされなかったものの、満場一致での、事業の承認とはなりませんでした。