「えっえっえっ」

 

 

今回二つのめあてを達成しました。

一つはシベリア鉄道に乗ること。

一つはアイルランドを自転車で一周すること。

それが終わってアイルランドの首都ダブリンでゆっくりしました。

いつもいつもユースの会員になって使えないのが常です。

今回は是非ユースに泊まりたいと思っていました。

 

 

 

「そんなこだわりもとのおかしくね。」

「はっきりいってそんな事する必要ないね。」

ダブリン市の観光案内には

川の手前と川の向こうについて書いてありました。

手前は外国の観光客が多くそれに対しての警備態勢が取られています。

川の向こう側は治安が良くなく危ないところが多いので

気を付けるようにのっていました。

(読んだのですが、あまり気にも留めませんでした。)

 

ダブリン市にある、国際ユースホステルを捜し

自転車を止めて宿泊の手続きを取りに部屋の中に入りました。

インターホーンで用件を言います。

するとドアのかぎを開けてくれます。

チェックインはそんなに時間がかからないだろう

と考えていました。

しかし中に入ったら先客が一人いて時間をかけて説明しています。

(自分は大体わかっているのだから早くしてくれないかな。)

 

 

前の旅行者が終わり、自分の番です。

受付カウンターのわきにビデオカメラの映像が映っています。

玄関には自分の自転車は写っていない何もない。

そのことを気にも留めずにチェックインの手続きをしました。

 

約15分ほど。

「自転車はどこに置いたらよいですか。」

「裏の駐車場に止めてください。」

係の女性から駐車場のカギを受け取り入口を出ました。

しかし、しかし見当たらないんです。

私の乗った自転車、ヘルメット、荷もつが

 

 

 

「えっ、えっ、えっえーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」

 

 

鍵を片手にうろうろしたんです。

ユースの建物の周りを。20分余り。

鍵をかけなくて玄関先においていたら、

日本からシベリア鉄道ユーロスタに乗り

パリ、イギリス、リバプール、ベルファーストを経由し

アイルランドを3週間かかって回った自転車と荷物

その自転車は、瀬尾サイクルからモニター用で借りてきたもの。

かえってなんと話したらよいのか。

 

今まで14回の乗り降りで苦心して、

苦労して目的達成のために大事な自転車を守り

頑張って運んだ自転車を一瞬にして持っていかれました。

 

 

 

受付に戻りユースの責任者(マネージャー)に話すと

理解してくださり、すぐ警察を呼んでくれました。

そしてユースの責任者はいろいろと気を使ってくださり

その後の自分の宿泊に関して手配をしてくれました。

自転車と荷物を盗まれたことは大変ショックだったのですが

責任者のとってくれた行動が骨身に浸みて有難かったんです。

 

 

「具体的にはどんなことだったの?」

 

「それはこんなことだったんです。」

 

①  困っている私の目を見て、一対一で

私の英語に合わせて内容を聞き取ってくれたこと。

 

②  その内容を警察官(ガードナー)が来て

細かく話してくれたこと。

 

③  とられた自転車の写真を警察に送り

手配してくれたこと。

 

 

④  ユースにはいつまでも宿泊して

いいということ。(朝食は出るんです。)

 

⑤  今までここで働いていた日本人のヘルパーに

連絡を取ってくれ細かい話を聞いてくれたこと。

 

何が勉強になったかというと

 

この事件に対しての対応が早く

 

真剣で相手の気持ちを大切にしてくれたことです。

 

忙しい中自分のことに時間を割いて

 

持てる力を十二分に発揮してくれたこと。

 

 

 

 

「マネージャーさん、ありがとうござ

いました。」南太平洋サモアの島の人

の感じがしたんです。人懐っこく親切で。

自分の立場以上に人に対して思いや

ってくれていることが大変勉強になりました。

 

ケースは違うかもしれないけれど人が困っているときは、

その人の身になって何をしたらよいか行動できればいいなと思いました。

 

自分としてはそれだけでは不十分だと思い

日本大使館に連絡をして、この後はどうしたらよいか

指示を仰ぎました。

 

女性の大使館員の方は丁寧に話を聞いてくれて、

日本に帰国した時に保険関係で警察の証明書が

必要になってくると思うので警察に証明書をもらうことを進められました。

マネージャに話したらさっそく手続きをしてくれました。

 

翌日日本人の若者が現れました。

そしていろいろ話を聞いてくれマネージャに話をしてくれました。

盗難被害届の証明書も届きました。

(とてもありがたい。)

「ああ、書き忘れたんですが、

取られたのは全部ではないんです。」

「だめじゃん、伊妻、読み手をがっかりさせて、

落ち込ませてるんでしょう。」

「ちがいます。ただ忘れていて。」

 

「年だね。伊妻、それ言い訳、もうだめね。」

「実は自転車と書類の入ったバック、携帯電話、

ヘルメットは全部なんですけど、ウエストポーチの中のカード類、

リュックの中には帰りのヒコーキのイーチケットはぶじだったんです。

それとパスポートは無事だったんです・・・・。」

 

 

「それはよかったね。」

「無事帰れるね。」

「ただバックの中の現金、ユーエスドル、ロシアルーブル、

イギリスポンド、イーユーユーロ、日本円で全部合わせて約50万円くらい。」

「嬉しかったり悲しかったり。」

後で知ったのですが、現金の盗難は保証はないとのこと。

証明の仕様がないのでしょう。

物品については限度額一点で10万円だそうです。

しかし領収書や使用年数を加味して査定が入り保険金が支払われます。

後で保険金は14万円支払われました。

(とても助かりました。)

 

 

「嬉しかったり悲しかったり。」

帰国までの5日間、ユースを起点にして

首都ダブリンの観光を行っていました。

お金はなかったんですがクレジットカードはあったので

それで買い物をしました。町はにぎわっています。

たくさんの国の人々が観光や買い物や娯楽やお勤め等でにぎわっています。

この中に自分の自転車を盗んだ人がいると思うと・・・・。

 

「嬉しかったり悲しかったり。」

「5日間で何見たの、どうしたの。」

複雑な気持ちで5日間を過ごしました。

「気持ちも大事だけど、何してたの。伊妻。」