「あーあ あ?」

普通の人は経験しない声




満太郎と言う男が居る
色んな名前を持っている

「シュガーボーイ満太郎」
「火だるま満太郎」
「オールナイト満太郎」


昔オールナイトニッポン
と言うラジオ番組で
バイトなのにディレクターやらされてた

だから
オールナイト満太郎



飲み会と言うと
口から火を吹くバカが居た
満太郎は そのバカな男が火を吹いた時
前を横切ったバカ

もちろん炎上

だから
火だるま満太郎


シュガーボーイは簡単で
二十代から糖尿病

足から蟻が上がってくると言ってた
だから
シュガーボーイ満太郎


そして もうひとつ
彼は名前を持つ





満太郎は
半蔵門線でニッポン放送まで通う男
実家は溝の口

昼間の電車に揺られて
うとうと
ぽかぽか
うとうと
ぽかぽか
うとうと

渋谷を越えたあたりで
アクビ

「あーあ あ?」
「あ?ああ?あああ!!」

「あがが あがががー!!」

アゴかハズレた


アゴがハズレた事が無いのでわからないが
満太郎に言わせると
アゴがハズレると

恐ろしく長い顔になる
らしい

葬式の後 骨箱を持った親族の様に
アゴは下まで行く らしい
ユダレが
止めどなく
ダラダラ出るらしい


葬式の後の親族の様に
アゴは伸びきり
見たことも無い長い顔で
口からダラダラ
ヨダレをたらし

「アガガ アガガガーガ」

(訳)アゴかハズレちゃった

「アガガ アガガガーガ」

(訳)アゴかハズレちゃった

その異様さに
女性客は
キャーキャーと
逃げ回った

助けて欲しい満太郎は

「アガガ アガガガーガ」
ヨダレダラダラ
「アガガ アガガガーガ」
ヨダレダラダラ

キャー
こっちに来ないで

「アガガ アガガガーガ」


半蔵門線はパニックだった








アゴはずし満太郎



彼がアクビをして
突然アゴがハズレた
その瞬間に
感じた事
それが




「あーあ あ?」









顔は伸びるらしい
それも



かなり