なたとわたしの間を

ポン  ポン

ポン  ポン

 

忙し気に

往ったり  来たり

 

昔から  こんな紙で

昔から  こんな色だったね

 

遊んでいたのよ

子供の頃  こんなふうに  紙風船で

 

誰と?  それはヒミツ

 

おとなになって

こんなにじょうずになって

 

紙風船は  ふたりの間を

ポン  ポン

ポン  ポン

 

紙の素材は危う気で

すぐにも  形を変えていく

 

空気を  吹き込めば  再び

まるく  まぁるくなって

ポン  ポン  ポン

 

思い出  たぐって

思い出  つくって

今  白いテーブルの上

 

紙風船は

少し形を変えたまま

ワイングラスに

寄り添っている

 

  詩集  『綺麗』

  たちばなりゅう子  著