今日のアラビア語。◇文法編◇#16【等位文〔A is B.〕】 | 藤坂託実の語学散策 ~アラビア語とその他諸々~

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これまで趣味程度に10以上の外国語を学んできたわたくし藤坂託実が、語学に関することを多角的に自分勝手に、独り言として吐いていくブログです。

アラビア語に関する記事が、おそらく最も多くなるでしょう。なのでこのサブタイトルです。

(旧ブログからの転載。新記事投稿またはリニューアルの後消去します)


『等位文』という文法用語はあまり聞かないし、正しいかどうかも分かりませんが、(でも何かの言語の文法書に書いてあったような気がするので)これでいきたいと思います。だって面倒くさいですもの、『AはBです』文とか《A is B.》文って表現するのは。分かりやすい単語一発で提示したいですよね。

という訳で、今回は『等位文』の表し方です。英語でいうbe動詞を使った文にあたります。ただし、今回は現在形です。過去形だと違う単語が必要になります。
かなり前の記事でうす~~~く書いたのですが、ここでしっかりとまとめます。


アラビア語では、英語のbe動詞やスペイン語のser/estar、イタリア語のessere/stare…等々にあたる現在形の動詞(連結詞)は、

ありません。

なので、まさに《[A] is [B].》の等位文を作る時は、右から左に読むアラビア語の特性に従うと、

《.[B] [A]》

というように、2つの要素をそのまま並記します、基本的には。
しかし!!ただ並べるだけでは成立しません。前回までの形容詞の記事を思い出してもらうと、形容詞が名詞を修飾する時も上記のように書かれるので区別する必要があります。

なので、等位文を作る時、基本的に次のような規則があります。

◎《[A] is [B].》文の場合、
[A]に限定名詞(句)を置く。※[A]に非限定名詞(句)を置く事は出来ません!←これ重要です。

[B]は形容詞の場合、非限定にする。
名詞(句)の場合、〔固有名詞/人称・指示代名詞/所有の掛かった名詞〕以外はたいてい非限定にする。
そして文末にピリオド。
※主語[A]と述語[B]は性・数を一致させます。


文法的に説明すると以上のようになりますが、実際に例文を挙げてみます。

まずは《A(名詞) is B(名詞).》の場合。



<上>(読み)アッターリバトゥ ムスリマトゥン。
(ラテン字表記)aTTālibatu muslimatun.
(意味)その女子学生はムスリマ(女性イスラム教徒)です。
<下>(読み)アッラジュル サディーキー。
(ラテン字表記)arrajulu Sadīqī.
(意味)その男は私の友人です。

<上>muslimatunはmuslimun(ムスリム:イスラム教徒)の女性形。主語の「女子学生」は定冠詞alがついてますが、述語の「ムスリマ」は非限定を表すタンウィーンがついてます。これで等位文になります。

<下>Sadīqunは「友人」です。例文では変化させて「私の友人」としてますが、「~の」という表現については次回以降になります。述語が限定名詞句ですが、「私の~」という所有が掛かっているので問題ありません。



次は《A(名詞) is B(形容詞).》の場合。



<上>(読み)ラジュルン タウィールン
(ラテン字表記)rajulun Tawīlun
(意味)(一人の)背の高い男[a tall man]

<中>(読み)アッラジュルッタウィール
(ラテン字表記)arrajulu-TTawīlu
(意味)その背の高い男[the tall man]

<下>(読み)アッラジュル タウィールン。
(ラテン字表記)arrajulu Tawīlun.
(意味)その男は背が高い。[The man is tall.]

比較するために、名詞+形容詞の例も出しました。実際に比べてもらえば、<下>の
《.[形容詞:非限定] [名詞:限定]》
の並びが文になっているのが分かると思います。


以上の事が分かれば、もう少し複雑な《A(名詞+形容詞) is B(名+形).》のような文も作れるようになります。



(読み)アッラジュルッタウィール タビーブン マシュフールン。
(ラテン字表記)arrajulu-TTawīlu Tabībun mashhūrun.
(意味)その背の高い男性は、有名な医師です。

Tabībunは「医師」、mashhūrunは「有名な」です。
主語「背の高い男性」はTawīru/rajuluともにalで限定にして、述語「有名な医師」はTabību/mashhūruともに非限定のタンウィーンをつけて、等位文の完成です。


こういう感じで、学習中の方は色々と文を作りながら覚えていくのが最善でしょうね。



余談ですが……前回の記事から時間が経ちましたが、自分で解説文を考えて書くのは難しいものです。今回の等位文もイメージで捉えればすごく簡単な事なんですけど、そのイメージの伝え方には骨が折れます。特にアラビア語は、ほとんどの人が文字そのものを認識出来ないため、余計に考慮する必要があるので…。
_<)できる限り頑張ってみますけどね。

次回は『格』です。かなり文法色の濃い記事になりそうですが、良ければまたご覧下さい。