今日のアラビア語。◇文法編◇#14【形容詞(非限定/限定)】 | 藤坂託実の語学散策 ~アラビア語とその他諸々~

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これまで趣味程度に10以上の外国語を学んできたわたくし藤坂託実が、語学に関することを多角的に自分勝手に、独り言として吐いていくブログです。

アラビア語に関する記事が、おそらく最も多くなるでしょう。なのでこのサブタイトルです。

(旧ブログからの転載。新記事投稿またはリニューアルの後消去します)


久しぶりの記事です。前回は形容詞の多くに決まった『型』があるという内容でした。突き詰めると語根構造が見えてくるのですが、それはまた後にします。

今回はいかにも教科書的な進め方ですが、名詞と形容詞の並べ方です。

アラビア語では、形容詞は、修飾する名詞の後ろに置きます。

この点は英語よりも、スペイン語やイタリア語等のラテン語系と共通してますね。後に例示する「背の高い男性」は、英語だと「a tall man」ですが、スペイン語だと「un hombre alto」です。(hombreは「男」、altoは「高い」です)


それをふまえて、今度は『非限定/限定』を区別する書き方です。


まずは、非限定用法。



<上>(読み)ラジュルン タウィールン
(ラテン字表記)rajulun Tawīlun
(意味)(一人の)背の高い男[a tall man]
<下>(読み)カスルン カディームン
(ラテン字表記)qaSrun qadīmun
(意味)(一つの)古い城[an old castle]

続いては、限定用法。



<上>(読み)アッラジュルッタウィール
(ラテン字表記)arrajulu-TTawīlu
(意味)その背の高い男[the tall man]
<下>(読み)アルカスルルカディーム
(ラテン字表記)alqaSru-lqadīmu
(意味)その古い城[the old castle]

rajulun「男」、Tawīlun「背の高い」、qaSrun「城」、qadīmun「古い」です。qaSrunは英語のcastleと響きが似ているので覚えやすいですね。

また、(意味)には場合により英訳も示します。a/anとtheの区別は和訳では面倒なので。
というわけで、二枚の写真の違いはお分かりですね。英語でいうところのa/anとtheがつく場合の言い方・書き方です。


ここで特徴的なのは、名詞・形容詞ともに『非限定/限定』の「しるし」がある事です。

例えば先程の「a/the tall man(英語)」「un/el hombre alto(スペイン語)」のどちらとも、【形容詞+名詞(または名+形)】の前に不定冠詞や定冠詞を置いて『非限定/限定』用法を表します。


しかしアラビア語は、単語それぞれに『非限定/限定』のしるしを付けます。

『非限定』のしるしとは、語尾にnをつけて、読みが「ン」で終わるタンウィーンです。これを名詞の語尾、形容詞の語尾の両方に付けます。
もちろんタンウィーンは具体的に文字にしません。表記する場合は発音記号で表します。


一方、『限定』のしるしは定冠詞alです。これを名詞の頭と形容詞の頭にも付けます。無理矢理スペイン語的に書くと「elhombre elalto」みたいな感じでしょうか。英語だと「theman thetall」かな。なんかややこしくなってきました(笑)

もちろん定冠詞alは、太陽文字/月文字やハムザトゥルワスリの法則にしたがって読みが変化します。詳しくは#4,#6をそれぞれご覧下さい。



なお、上記のrajulunもqaSrunも男性名詞です。これが女性名詞だと形容詞も少し変化します。次回はそれについての記事です。ではまた!