さて、前回の続きですが、

 

ユーザーに提出する見積図ですが、

かなり簡素に書きます。(受注前なので特に気を付けている所です。)

構想はできていても、機構部は特に書きません。

と言うのは、受注する前に情報流失を防ぐためです。

 

受注するために、技術力をアピールするため、

細部まで設計して提出するメーカーさんもありますが、

その図面が他社に流失する場合が多々あったからです。

経験値で、こんな装置を格安でできないか?

と商社から提示された資料が過去に自分が書いた図面だったなんて事がありました。

 

特に注意が必要なのは海外のユーザーの場合です。

日本の技術を安売りしたくないので、更に注意しています。

 

では、どうやってユーザーに技術力をアピールするのか・・・

対面による打ち合わせで、口頭で説明します。

それで理解できない様な担当者は、

気に入れば、育てるつもりで、詳しく教えますが、

知ったかぶりをする様な担当者だと正直、こちらから断る場合もあります。

 

で、晴れて受注したら、細部まで設計した図面を提出します。

この時は、

製作仕様書と製作図面を一緒に提出して、承認を得ます。

また、製作前に検収条件書も作成して提出、承認を得ます。

 

この、検収条件書とは、何をもって、装置の完成とするかの線引きです。

事業としてやっている場合は、対価を回収するまでが仕事です。

特に開発装置は言葉通り完成の終わりがユーザーと装置メーカーでは

食い違う場合があります。

ユーザーは仕様が満足するまで、求めてきます。(開発が終わるまで)

装置メーカーは構想した装置が出来上がったら終わりと考えています。

開発装置なので、装置を作ったけど、思うような成果がでない事もあります。

で、成果がでるように改造するのですが、ここで発生した費用について、

もめる事があります。

ユーザーは装置が完成するまでが見積の範囲だと主張しますし、

メーカーは想定外の対応なので、別途費用を請求したいです。

装置が完成しないと、費用が回収できない売買契約が多いので、

メーカーとしては資金繰りが大変になる場合があります。

 

どちらの言い分もわかるし、困るのはお互い様なので、

事前に、検収条件書を作成します。(とても大事です。)

親しくとも、なれ合いにならない様に、

特に、お金に関して揉めないためにも、

事前の検収条件書は必要だと思っています。

 

 

で、話がズレてしまいましたが、

実験機の製作も、後でもめないように、何を作るのか、実験方法はどうやるのか、

実験結果が悪くても、実験機の製作費用は支払ってもらえるのか、を確認します。

 

OKがでれば、実際に製作にとりかかります。

まずは、詳細設計です。

実験機なので、手動でノズルを動かす方法とし、

今回はノズルを3種類製作して比較しました。

(ノズル形状とか方法とかは秘密です。)

また、乾燥方法についても専用のノズルを製作し実験を行いました。

実験機なので予算もあまりかけたくないので、

加工部品は、材料を買って自分で加工します。

購入費も、材質やグレードを下げて(耐久性は必要ないので)購入します。

で、組立て、実験を行い、梱包して、

実験結果レポートと一緒に納品します。

 


 

 

 

納品後、テスト方法を説明し、ユーザーの方でも実験を行ってもらいます。

 

次回は、実験結果後の1号機製作についてです。