国際社会の目厳しく チベット騒乱 海外主要メディアの社説・論評 MSN産経NEWSより コピペです。2008.3.21 22:35
チベット自治区ラサの大規模騒乱に端を発する中国政府への抗議行動は、海外ではどう見られているのか。主要メディアの社説や論評を紹介する。
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●米紙ニューヨーク・タイムズ(18日付電子版)
中国は五輪の開催権を得るため、人権状況の改善を約束した。チベットでの行動が示す限り、中国は約束を重視していない。米国務省は、190カ国に関する人権に関する年次報告書の中でワースト10のリストから中国を外した。しかし、中国が北朝鮮やミャンマー、イラン、スーダンなどよりも上位に位置づけられたことで得たものはみな、チベット弾圧で失われた。中国は五輪というデビュー・パーティーで光り輝く機会を得たのに、それを無駄にしようとしている。
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●米紙ワシントン・ポスト(19日付電子版)
中国がチベット報道を抑圧し、国内記者や反体制者を処罰している点をみれば、中国は少なくとも、人間の尊厳保持に重きを置く平和な社会を推進するとした五輪憲章に違反している。外国指導者と国際オリンピック委員会(IOC)が何もしなければ、国民が傷つくだけでなく、将来の五輪開催国に人間の尊厳を守ることが必要だと思わせる期待も損なわれる。もっとも熱烈に中国を弁護している国をみてほしい。ロシアは幸運にも、2014年の冬季五輪の開催国だ。
●英紙タイムズ(21日付)
中国政府はチベット問題に関し、抗議活動を弾圧し、報道管制を敷き、北京五輪の威信を保つという3つの目標を同時に達成することはできない。北京は、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と対話の席につき、チベットの新しい地位について交渉するときが来た。五輪開催という重大さはすでに北京に慎重な検討を強いている。欧米諸国がダライ・ラマが道徳的権限を有することを明確にし、北京がこれを受け入れられないときは五輪開催が危機にひんする。(ロンドン 木村正人)
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●英紙フィナンシャル・タイムズ(17日付アジア版)
中国政府がチベットに中国の統治を押しつけ、自治を与えないのは間違いだ。また、チベットで起こっている出来事とチベット族の見解を隠蔽(いんぺい)することも誤りだ。国際社会は中国の主権を認めており、人権とチベット族文化の尊重を望んでいるのだ。真の自治を視野に入れたダライ・ラマとの対話は良いスタートとなるだろう。ダライ・ラマが五輪ボイコットの呼びかけを避けているのは今の暴力的な状況下では和平の申し出であり、中国指導部はこれをつかむべきだ。
●独紙フランクフルター・アルゲマイネ(20日付)
中国政府は18日、チベットが秩序下にあると発表したが、19日に強硬措置を取るなど言動が一致していない。ダライ・ラマ14世も「オオカミの皮をかぶった僧」と侮辱されている。諸外国もおのずと(中国の)同盟国に成り下がっている。(各国指導者は)“深い懸念”を表明するか、またはブッシュ米大統領のように沈黙するだけだ。彼らは本当にチベット民族の失望に懸念を示しているのか。もしくは中国の立場を受け入れているのか。(ベルリン 黒沢潤)
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●仏紙フィガロ(19日付)
もし北京政府が融和の態度を取らなかったらチベット危機は五輪の良好な運営を危うくしよう。ダライ・ラマはこの10年来、独立を主張せず、非暴力と大幅な文化的自治を説いており、彼が反乱を指導したとは誰も信じていない。
ボイコットはスポーツの祭典にふさわしくない。中国人を侮辱することになるからだ。五輪は中国に強力な地位とともに世界的義務も課している。ダライ・ラマとの対話を樹立するのみならず精神的指導者として認めることこそ義務だ。(パリ 山口昌子)
●国営ロシア通信、コスイレフ評論員の論評(17日配信)
死傷者の半数以上は中国政府の関与しない放火事件で出た。騒乱が発生した場合、まず最も厳格な手段で人々の生命と財産を守り、無秩序に歯止めをかけるのがあらゆる政府の義務だ。注目に値するのは、世界的な規模で攻撃的な、少なくとも政治的に活発な仏教が現れていることだ。チベット情勢との関連は不明だが、昨年のミャンマー反政府デモでも僧侶が中心的役割を果たした。中国の新疆ウイグル自治区は上海協力機構で包囲したが、残る同国の“弱点”はチベットだ。
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●中国紙チベット日報(20日付)
「ダライ集団」による組織的陰謀的扇動的な破壊活動は、党の指導のもとチベット政軍警民一致団結で完全制御した。この血と炎の試練で人々は、反動勢力が最後には自分の持ち上げた石で自分の足をつぶし自滅するものとはっきり認識した。チベット独立とは旧チベットの暗黒封建農奴制を復活させようという時代錯誤の妄想であり必ず失敗する。国際反中勢力の支持のもと非暴力の仮面を脱ぎ反人類の素顔をあらわにした独立分子を待つのは、歴史上最も厳しい審判だろう。