４月２７日史上３回目の南北首脳会談が行われた。
過去２回と違うのは、北側のトップが韓国へ行き首脳会談を行ったこと。
これは、ある意味歴史的快挙。
しかし、中身はそんなに大したことはない。
板門店宣言の内容も２回目の南北首脳会談の１０．４宣言に沿った内容であり、朝鮮半島の非核化が加わったぐらい。
今回の南北会談は次の米朝首脳会談への環境作りにしかすぎない。
中国はアメリカに取って代わって世界の覇権を握ろうとする野望がある、しかし、北朝鮮にはそれがない。
良くも悪くも民族主義的思考が強い。これは韓国も同様。
朝鮮半島のことは朝鮮民族で解決するということ。そして朝鮮民族でひとつの国を持つこと。
北の目的はまず、第一に体制の保障。第二に朝鮮戦争の終結。第三が半島の統一。
現体制を守るために北朝鮮は核開発に乗り出した。
そのために核拡散防止条約（NPT）から脱退。また国際原子力機関(IAEA)からも脱退。
これには経済制裁というリスクを負うことにもなる。
もちろん、経済制裁を受けることは北朝鮮も想定済み。
ただ、普通の国はこんな政策を採れば、まずその政権は潰れます。国の経済を悪化させ国民の生活を苦しめる政策を意図的にしてるわけだからね。
これを可能にしてるのは、取りも直さず北朝鮮の独特の政治体制にある。宗教団体が国を持ったような神格化した個人独裁体制。金一族のためなら自分たちが貧しくなっても耐えられるわけですね。
また核を持つということは、体制保障というだけでなく、第二の朝鮮戦争の終結にもつながる。
何故なら、朝鮮戦争の休戦協定は北朝鮮、中国、アメリカで結ばれたもの。
これを終戦させるのはアメリカとの対話が必要不可欠。
アメリカを対話のテーブルに引っ張り出すためにはアメリカと対等の力が必要になる。
そのための核兵器開発でありアメリカ本土に届くICBMの開発でもあったわけです。
南北会談の少し前に北は核実験の中止、ミサイルの発射実験の中止、核実験場の放棄を発表した。
核兵器を作る技術は確立してるわけだから、もう実験は必要ない。ICBMも完成したからもう発射実験する必要がない。去年の水爆実験で核実験場が崩壊して使えないので放棄。というだけの話。これはつまり平和路線のムードを盛り上げるためのパフォーマンス。
去年まではミサイル発射や核実験を繰り返していたのが手のひらを返すごとくの和平路線。
これは北朝鮮の予定通りの結果。
この手のひら返しを決定させたのは韓国の大統領が対北強硬派の朴クネ大統領が退陣し対北融和派の文在寅大統領が誕生した時に決まったとも言える。
その前にアメリカの大統領が北朝鮮を無視し続けたオバマ大統領から、大統領選挙時に北と対話する用意がある、在韓米軍の撤退まで主張してたトランプが大統領になった。
しかも２月に韓国で冬季オリンピックがあり和平路線に転換する絶好のタイミング。
まさに天が北朝鮮に味方をしてるかのような状況が出来上がった。
おそらく、１ヵ月後ぐらいには歴史上初の米朝首脳会談がモンゴルかどこかの第３国で行われる。
そこで話し合われるのが、１つが朝鮮戦争の終結。２つ目が朝鮮半島の非核化。３つ目が北朝鮮に拘束されている３人のアメリカ人の解放。
ここからは私の推測になるが、早ければ６月遅くとも夏にも南北と米中４カ国のトップが板門店に集まり朝鮮戦争の終戦協定を結ぶことになる。
そこでトランプは平壌にも行き、拘束されていた３人のアメリカ人をつれてアメリカに帰国。
これで一気にトランプの支持率は急上昇し今年の中間選挙も圧勝する。
朝鮮半島の非核化は在韓米軍の撤退が条件になる。
ここはまだ米朝で話し合うことになりそうだが、在韓米軍の撤退についてはトランプは同意するだろうが北に対して核拡散防止条約（NPT）と国際原子力機関(IAEA)への再加盟を求めるかどうか。
９月には韓国の文在寅大統領が訪朝し、ここで南北統一についての話し合いが行われることになる。下手すりゃここで正式決定してしまうかもしれない。
日本は蚊帳の外だと批判する人もいるが、蚊帳の外で当たり前なんです。何故なら朝鮮戦争に日本は関係していないから。
日本は拉致問題を抱えてるが、ここは非常に難しい。
金正恩は日本との対話の用意があると言っている、マスコミの論調は経済支援目的だろうと言ってるが、おそらく違う。
日本は北に対して経済制裁圧力をかけよう世界に主張してるのに、そんな中で経済支援なんて要求するとは思えない。
また、南北統一が決定すれば、中国、ロシア、韓国が北に対して相当額のインフラ整備のための投資をするだろうから日本の金をあてにする必要なくなる。
おそらく北が要求するのは在日米軍の撤退。
北がもし、日本も在日米軍撤退させ日米安保も破棄し自分の国は自分で守るべきだ。核兵器も所有すればいいと言って来たら？
日本が要求するのは、もちろん拉致被害者の返還。
拉致被害者が戻る見込みの立たない中で日朝首脳会談をやる意味はあまりないように思われる。