地域限定保育士 | ふじくまさんのブログ

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今月24日25日と二日間にわたって、神奈川、千葉、大阪、沖縄の4府県で行われた第一回目の地域限定保育士の筆記試験の試験監督をしてきました。
地域限定保育士、正式名称は「国家戦略特別区地域限定保育士」。要するに特区の一つとして作られたもの。
この地域限定試験で資格を取ると3年間はその自治体でしか働けないという縛りがあるわけですね。
ただ4年目以降は全国どこでも保育士として働ける。
この4府県は待機児童が多い4府県。だから保育士を増やしたいという意図はわからないでもないのですが、ちょっと疑問が。

というのは、保育士試験というものは一発合格の試験じゃないんですよね。
保育士試験というものは筆記9科目、実技2分野を3年間の間に合格すればいいという、いわば単位方式。
例えば、初受験で筆記9科目全部受けたけど6科目しか合格しなかった。
そうすれば来年、残り3科目受験して合格すればいいという感じ。
そして筆記が済めば、次は実技。

通常の保育士試験が8月にあったわけですが、仮にそこで1科目だけ落としたとしましょう。
じゃあ、残り1科目を今回の地域限定で受けて合格した。
そうすれば、そのまま次の実技試験に移れるのですが、ここで実技試験を受けて合格してしまうと3年間は神奈川なら神奈川でしか通用しない資格を取ってしまうことになる。
仮に静岡の人で地元で働きたいというのであれば、地域限定での実技試験はあえてスルーして来年の通常の保育士の実技試験を受けるという選択をするでしょう。

待機児童が多い4府県で保育士を増やしたいという意図はわかるのですが、保育士の試験制度が地域限定の意味合いを無くしてしまう試験スタイルなんですよね。
だから12月に地域限定の実技試験がありますが、一体どれだけの人が受けに来るか、はなはだ疑問。

現に私は試験監督をした教室では、ほとんどの科目で半分以上が欠席。一番面倒な通称、ニコイチと呼ばれる教育擁護と社会的擁護の2科目だけは欠席率が極端に低いという結果。
つまり、受験者はここで資格を取ろうというのではなく、年1回だったのが2回になって科目試験の数をここで稼いでおこういう発想なんだろうなと。
そして来年、少しでも楽にしようという感じ。

それともう1点。受験者側から見ると地域限定は、格下感があるということ。
通常の試験が8月に行われ、2ヵ月後には地域限定。
まるで敗者復活みたいで、しかも3年間の縛り付き。
地域限定だからといって問題のレベルを下げてるわけではないので同等ではあるのですが、どうしても格下感を感じてしまう。

来年は通常の試験を4月に前倒しして、地域限定を10月。そして来年は宮城県も地域限定に加わり5府県で実施するようですね。
それなら、保育士の試験を普通に年2回した方がいいと思いますけどね。

最後にもう1点だけ。
受験料が高い。約13000円。
保育士増やしたいなら、もうすこし受験料下げてあげた方がいいと思いますね。