世論調査のやり方 | ふじくまさんのブログ

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あぜ道・けもの道は歩いても人の道は踏み外すな!

私は過去に新聞社の世論調査の調査員をした経験から、世論調査について誤解も多いので
、その概略だけでも書いてみようかと思います。
おそらく、調査の電話がかかってきた方ならわかる内容だとも思いますが。

私は総選挙、参院選挙両方やりましたが新聞社は別です。
新聞社が違うので多少の違いはありますが基本は一緒。

どこも今はRDD方式。
アトランダムで作られた電話番号にかけていくわけです。
まず最低限、取らなくてはいけないサンプル数が決まってる。これは統計学上当たり前ですが。
それに対してアトランダムに作られた電話番号のリストが作られる。
例えば、サンプル2000必要だとするとリストを5000件作るとか。
その5000件の中から2000件取らないといけない。だから、一回ぐらい断られても時間を置いてまたかけなおしたりするわけです。リストの数が決まってますから。
また市外局番で選挙区がほぼ判別できますが、一応○○市にお住まいですか?とか選挙区の確認はしますよね。総選挙の場合は。
参議院選挙は県単位だから問題は無い。(一部地域で例外はありますが)

ここまでは、だいたい皆さん知ってるんですよね。
ここから先に誤解が多い。

平日の昼間に電話してきて出れる人なんて高齢者か主婦しかいないじゃんとか。
という定番の疑問。

まず、電話をかける。
例えば、主婦の方が出たとしましょう。
実は、世論調査は電話に出た人に答えてもらうわけじゃないんですよね。
選挙の世論調査の協力のお願いをして、協力していただけるとなれば、
最初に、その世帯の有権者数を聞くんですね。
仮に、御夫婦と20歳以上の息子さんが一人の3人だったとしましょう。

そうすると調査委員は、パソコンかペーパーに書かれている数字を見るんですね。
3人の場合は1~3の数字がアトランダムに書いてある。

もう少し詳しく書くと、PCの場合はPCにかける電話番号が出てきて、有権者数3人だとすると
3を入力するわけですね。そうすると1~3の数字がアトランダムに表示されるわけです。
ペーパーリストの場合は、そのリストに書かれた電話番号にかける。
有権者数3人だったら、そのリストには、有権者数が1の場合は1、2の場合は1~2、3の場合は1~3・・・10の場合は1~10の数字が有権者数別にアトランダムに記載されてるわけです。
これはもちろんリストごとに数字は違います。

仮に3という数字がかかれていたとしましょう。
そうすると、この世帯の場合は年齢が上から3番目の方にアンケートに答えていただくことになるわけです。
ということは、この家の場合は息子さんに答えていただかなくてはいかないわけです。
もし、電話に出た母が代わりに答えますと言ってもこれは断らないといけない。

今回のアンケート対象が息子さんなのでということで、息子さんに電話を代わっていただいて
答えてもらうわけですが、その時にいればいいのですが不在の場合も多い。仕事だったり学校だったり。

その時は、何時ぐらいに帰宅するか聞いて、その時間にもう一度かけなおすわけです。
そして、改めて帰宅するであろう時間に電話をして調査に協力してもらうわけです。

実に面倒なことをしてるわけです。電話に出た人に聞いていけば楽なんですが、そうすると
対象に偏りが出る。それを無くすためにこういうやり方をするわけですね。

朝電話してもアンケートに答えてもらう対象者は20時にならないと帰ってこない。
とかはざらにある。
だから朝から晩まで電話をかけ続けなくてはいけないわけですよね。

また当然のことながらノルマがあるわけです。個人ではなく全体の。
だいたい、総選挙の場合10万人調査とか出るわけです。
選挙区が300あるわけですから、10万人を300で割れば1選挙区当たり何件のアンケートを取らなくてはいけないか、おわかりだと思います。

最初に書いたようにRDD方式で無作為に作られた電話番号にかけていくわけですから、不在で出ない場合もあります、不在なら時間を変えてかけ直せばいいだけですが、FAXにかかる時もあったり、「この電話番号は現在使われておりません」というアナウンスが流れてきたり、結構外れも多いんですね。
また、会社にかかる場合もあるんですね。もちろん、会社の場合もアウトです。

そして、やっとつながったと思ったら、世論調査だっていうとガチャ切りされたり。
結構大変なんですよ。

世論調査の調査委員をする上で一番大事なことは心が折れないことかもね(笑)