ミステリ文学の散歩道~谷中 根津 千駄木編(1)~ | BAR~凶鳥の黒き夢~

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日暮里駅西口を降りて坂道をのぼっていくと、谷中霊園を少し過ぎたあたりに赤色のポストが見える。そこを左に曲がって細道を進んだところにあるのが朝倉彫塑館である。彫塑家朝倉文夫(1883~1964) が住居兼アトリエとして使用したこの建物は西洋建築(鉄筋コンクリート造り)のアトリエ棟と日本建築(数奇屋造り)の住居棟とで構成されている。黒塗りの壁が落ち着いた雰囲気と厳かな雰囲気を醸し出し、どことなく建物に住む主人の性格というものを窺わせる。設計者は朝倉自身。狷介にして孤高の芸術家がうら若き妻と俗世間を離れてひっそりと暮らしているさまを想像するとミステリマニアは綾辻行人の「水車館の殺人」を思い浮かべるかもしれないが、生憎、朝倉本人は交際も手広く、常識人に分類される人間だったようだ。

朝倉

神社仏閣が周囲に多いのもこの界隈の特徴。地域に密着した商店が軒を連ねて谷中銀座に犇めき合う。夕飯時になると恰幅のいい親父の掛け声に足をとめ、真剣なまなざしで惣菜品を物色する婦人連の姿を見ることが出来る。

谷中銀座2