ジョン・ウー監督の映画に、鳩がよく出てくる。
彼が関わった映像作品(監督、製作)の中から、鳩が登場するシーンを以下にまとめる(日本で見られる映像作品のみ。30作ほど、チェックした)
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■『狼 男たちの挽歌・最終章』
・映画の冒頭――殺し屋のジョンが、教会の会衆席に座っている。
この会衆席の背もたれに白鳩が止まっていたり、床にたむろしていたりする。
・教会の会衆席で、銃弾の摘出手術を受けるジョン。
白鳩が教会の中を舞ったり、十字架に止まっていたりする。
・ジョンを追って、ジェニーの住むアパートに、刑事のリーがやってくる。
この、ジョン対リーの逃走・追跡劇の最中、ジョンが機転を利かせて、リーから逃れる。アパートの屋上にある鳩舎を開けて、たくさんの鳩をリーにけしかけたのだ。
たまらずに、リーがバランスを崩す。
・教会にやってきた、ジョン、リー、ジェニーの3人。
白鳩が教会の中を舞ったり、天使の像の上に止まっていたりする。
・教会でフォンが来るのを待つ、ジョンとリー。
彼らの前方の床に、たくさんの白鳩がたむろしている。
・教会でフォンが来るのを待つ、ジョンとリー。
十字架に白鳩が止まったり、その周囲を舞ったりする。
・フォンが教会にやってきて、扉を開ける。
扉の前にたむろしていた4羽の白鳩がこれに驚き、その中の1羽が舞い上がり、ほかの3羽が扉の横に押し出される。
・深手を負うフォン。
ジョンは涙を流しながら拳銃を手に取り、フォンにとどめを刺す(楽に死なせてやるため)
この直後、たくさんの白鳩が十字架の周囲をバサバサッと舞う(天に召された、という意味と、鳩のけたたましい羽音が、ジョンの悲痛な感情を表現している)
・教会内で銃撃戦が起こる。
リーが腹部を撃たれた瞬間、1羽の白鳩がロウソク立ての上に降り立ち、いくつかのロウソクの火を消す。
■『ハード・ターゲット』
・焼死したダグラス・ビンダーに関する資料に目を通す、チャンス・ブドロー。
軍人だったビンダーの認識票(ドッグタグ)が1枚、資料に挟み込まれている。
そんなとき、白鳩が飛んできて、手すりにとまる。
全くの偶然ではあるが、白鳩がとまった手すりに、2枚1組の認識票がかかっていた。
それを目にしたブドローは、
「yeah(ヤー)」
と、声を上げる。
そう――認識票(ドッグタグ)は2枚1組でなければならないのに、資料には1枚しか挟み込まれていない。
もう1枚はどこにいったのか?
この疑問を覚えたブドローは、ビンダーが焼死した現場を訪れ、もう片方の認識票を探す。
すると、焼け跡の中に、大穴のあいた認識票(ドッグタグ)が見つかる。
それは、人為的な力が加わって破損したものだった。
ブドローは、この状況から、ビンダーの他殺を確信する。
・敵に追われるブドローが、廃工場に逃げ込む。
これに驚いたのか――工場内に、すみ着いているとおぼしき、たくさんの鳩が、バサバサッと舞う。
・上記の場面以降、ひんぱんに鳩が登場して、廃工場での銃撃シーンを盛り上げる(ヘルメットの上にフンを落とされた敵が、頭上にいる鳩に向かって銃弾を浴びせたり、ブドローの左肩に1羽の鳩がとまったりする。見どころ満載)
■『大陸英雄伝』 *ジョン・ウー製作
・後に「殺人王」と呼ばれることになる主人公・ピンが、馬賊の男を斬りつける。
男が悲鳴を上げた瞬間、その声に反応したのか、近くにいる鳩たちが一斉に飛び立つ。
しかし、1羽の鳩だけが崩れた天井の隙間から、ピンと男の様子をうかがっている。
サッと表情を変えるピン……。
やがて、ピンは、その鳩の視線にたえられなくなったのか、それとも、平和の象徴である鳩を見て考えが変わったのか、男にとどめを刺さずに、その場から立ち去る。
■『フェイスオフ』
・ヴィクター・ラザロの葬儀がおこなわれる中、たくさんの鳩が舞う。
やがて、ショーン・アーチャー対キャスター・トロイの銃撃戦がはじまるが、この一連のシーンの間、画面にたびたび、鳩が映る。
■『ミッション:インポッシブル2』
・「キメラ」と呼ばれる殺人ウイルスに感染した、ナイア・ノードフ=ホールを助けるために、主人公――イーサン・ハントが、ショーン・アンブローズのアジトに潜入する。
一刻も早く、治療薬である「ベレロフォン」を、アンブローズから奪取しなければならない。
このイーサンの潜入から敵との銃撃戦に至る一連のシーンに、多数の鳩が登場する。
たくさんの鳩が一斉に舞ったり、イーサンの眼前にある棒に鳩が止まったりする。
■『ペイチェック 消された記憶』
・主人公のマイケル・ジェニングスが研究所に侵入する。
このシーンにおいて、1羽の白鳩がマイケルに向かって飛んでくる。
■『EX MACHINA-APPLESEED SAGA-』 *ジョン・ウー製作
・「Produced by JOHN WOO」という文字が表示されるところで、たくさんの白鳩が舞う(明らかに、「鳩といえばジョン・ウー」という意図がある)
・安全保障会議が開かれる議場を背景に、たくさんの白鳩が飛ぶ。
・安全保障会議が開かれている議場を背景に、たくさんの白鳩が飛んでいく。
・ランドメイト(パワードスーツ)を着たマヌエル・アイアコスが議場を襲う。
このシーンにおいて、たくさんの白鳩が、アイアコスの周囲を舞う。
・テレウスが白鳩の死骸をつかむと、それがロボットであることが分かる。
「不審電波の発信源は、鳩か?」
テレウスは周囲を見渡しながら、そう言う。
・鳩のロボットから異常な電波が発信されたことによって、サイボーグにウイルスプログラムが侵入し、暴動が起こったのでないか、と、ESWAT(ESpecially Weapon And Tactics)の隊員たちに、義経が所見を述べる(スクリーンに、ロボット鳩の画像が映し出される)
■『レッドクリフ Part I』
・赤壁において、劉備・孫権連合軍の出陣式がおこなわれる。
将帥たちが杯(さかずき)を掲げると、白鳩たちがその眼前を横切り、飛び去っていく。
・周瑜を中心に作戦を練る連合軍の将帥たち。
将帥たちのいる楼閣に、10羽の白鳩が止まっている。
・緒戦に勝利した連合軍。
続々と部隊が引き上げてくる。
この兵たちと、曹操軍の船団を、将帥たちが眺める(将帥たちのいる楼閣に、複数の白鳩が止まっている)
・孫権の妹・尚香(しょうこう)が、城内にたむろする白鳩を見つめている。
「私のハトです」
孔明はそう言って尚香(しょうこう)に近づき、彼女に豆を差し出す。
「太らすと飛べません」
尚香(しょうこう)が考えなく、鳩に豆を与えているので、孔明がそれをたしなめる。
尚香(しょうこう)はクスッと笑って、
「できることならハトになりたい」
と、孔明に言う。
・孔明が白鳩を扇であおぐ。
それを見た周瑜が不思議に思って、
「何を?」
と、問う。
「体を洗ったので乾かそうと」
孔明が理由を述べる。
・孔明が白鳩を放つ。
曹操の大軍団の上を、白鳩が真っすぐに飛んでいく。
■『レッドクリフ Part II -未来への最終決戦-』
・孔明が白鳩を放つ。
曹操の大軍団の上を、白鳩が真っすぐに飛んでいく(*『レッドクリフ Part I』の映像)
・曹操軍の中に間諜(かんちょう)として潜り込んだ尚香(しょうこう)
その彼女の前に、孔明の放った白鳩が舞い降りる。
敵に悟られないように、尚香(しょうこう)は白鳩をつかみ、これを隠す。
・尚香(しょうこう)が、収集した情報を文(ふみ)にして伝書鳩(孔明の鳩)に付す。そして、彼女は放鳩するが、ちょうどそのとき、曹操軍の兵士・孫叔財(そんしゅくざい)が近くにいて、飛び立つ白鳩が彼の顔面にぶつかる。
尚香(しょうこう)は顔をしかめて、ことの発覚を恐れる。しかし、彼女が、
「鳥を…逃がしてた」
と、しらじらしい言い訳をすると、意外や意外、
「そうか 優しいんだな」
と、孫叔財(そんしゅくざい)は言って、伝書鳩の存在に気がつかない。
・孔明のもとに、尚香(しょうこう)の放った白鳩(伝書鳩)が帰ってくる。
「疫病が まん延」
と、曹操軍の様子が伝えられる。
・孔明のもとに、尚香(しょうこう)の放った白鳩(伝書鳩)が帰ってきて、曹操軍の将帥――蔡瑁(さいぼう)と張允(ちょういん)が殺された、との情報をもたらす。
・尚香(しょうこう)が、収集した情報を文(ふみ)にして伝書鳩(孔明の鳩)に付す。そして、彼女は放鳩するが、ついにその光景を曹操軍の兵に見られて、正体が露見する。
「間者だ! 捕らえろ!」
曹操軍の兵たちが集まってきて、次々に尚香(しょうこう)に襲いかかる。