昨日は久しぶりに秋葉原の町を散策する | キジバトのさえずり(鳩に執着する男の語り)

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・昨日は久しぶりに秋葉原の町を散策する。
 朝、バーガーキングで、ハンバーガー(ビーフモーニング)・ホットスナックチキン・メロンソーダを頼む。おなかがいっぱいにならなかったので、今度はかつやに行って、朝ロースカツ定食を食べる。
 次にセブンイレブンに行って、『艦これ』のグッズと『ラブライブ!』のお菓子を物色する。
 店内に設置されているATMからお金を下ろす。それから、俺がメーンバンクにしている銀行のATMに行き、先ほど引き出したお金のほとんどを入金する。
 雑事を終え、ヨドバシカメラに向かう。各階を順番に回って商品を見る。連合艦隊の主要な艦艇がプリントされているクリアファイルをおもちゃコーナーで買う。
 尿意を催したので、秋葉原でいつもトイレ利用のみの目的で出入りしているパチンコ屋に行く。そこのトイレが面白くて、おしっこゲームが楽しめる。小便器の中の的を狙っておしっこを放つと、その水量や勢いを計測してくれるのだ。
 駅前に戻り、公園でたむろしているドバトの観察をする。生存競争の激しい都会のただ中だけあって、体色が皆黒い。10数羽もいるのに、灰二引が1羽もいない。ちょっとびっくりした。いつか、都会の鳩は、全部黒くなってしまうのか、などと思った。
 町の大通りに行って、各店を回る。どの店も、現在公開中の映画『ラブライブ!The School Idol Movie』に乗っかって、同作の映像を流している。町全体が『ラブライブ!』を押している印象を受けた。俺もそのうち見に行く必要がある、と思った。
 『ラブライブ!』のBD映像がきれいで、テレビで流しているものと歴然の差があった。BDがちょっと欲しくなった。
 コトブキヤで、伊168のグラスと、榛名のステンレスマグカップを買う。『艦これ』をやりながら、麦茶やコーヒーを飲むのに使う予定。
 町を歩いているときに、カップルがけんかしているのを目にする。歩き去ろうとする男に向かって、女が背後からハンドバッグをぶつける。女の表情が醜くゆがんでいて、関係のない俺をも不快にさせる。一方の太った男は平然とした様子で、女をまともに取り合おうとしない。
 この30代とおぼしきカップルに何があったのか分からないが、そういうのは家の中でやってくれ、と思った。
 相変わらず、秋葉原の町は、メイドさんが多い。彼女たちがチラシ配りをしているのが俺には結構なストレスになる。恥ずかしくて仕方ない。ちょうど、『ラブライブ!』の園田海未ちゃんが映画のキスシーンを目にして、動揺してしまうのに似ている。
 俺はどうも、メイドさんが苦手だ。その存在に耐えられない。目のやり場に困る。かわいらしい声も耳にするだけで緊張する。
 プレッシャーに負けたのか、喉の乾きを覚える。UCCのコーヒーが100円で売られている自販機で同商品を買い、一挙に飲み干す。
 最後に、行きつけの書泉ブックタワーとブックオフに行く。10冊ほどの本を買う。
 ブックオフのアルバイトがせわしく書棚の整理をしていたが、それが邪魔で、落ち着いて本を選ぶことができなかった。
 本の扱いは乱暴だし、私語も多い。本好きの俺としては、気分がめいる。
 バイトリーダーみたいな男が、アルバイトの女に指示し、その女が逐一、本整理の段取りについて聞き直す。それが耳障りで、店内が本屋らしからぬ騒々しさに包まれる。
 韓国出身のアルバイトがいるらしく、彼はまだ仕事に入ったばかりで、要領がよく分からないようだ。女のアルバイトが男のバイトリーダーに、その外国人に何をやらせればいいのか、何度も相談する。    
 俺は思った。韓国出身の男が「日本の本屋の質は低い」などと思いませんように、と。
 帰りの地下鉄は混んでいて、座れなかった。しかも、結構ゆれる。ふいに、網棚に置いた俺のビジネスバッグが落下する。新聞を読んでいたひげ面のおやじのひざにバッグが当たる。
あっ! 失礼しました」
 と、俺は彼に謝って、網棚にバッグを置き直す。
 また、こんなこともあった。俺の前にカップルが座っていたのだが、女がばかで、混み合っている車内で足を組んでいる。今にも、女のパンプスが俺のスラックスに接触しそうだ。
 俺は頭にきて、女をちょっとにらんだ。そうしたら、男の方がそれに気づいて、俺の方を見る。
 彼と目が合った。
 注意するか、またはけんかしてもよかったが、争いごとになるのもどうかと思って、俺の方から目をそらした。荘子の一節を頭に思い浮かべながら、仕方なく俺は大人の対応に徹したのである。多分、20代の頃だったら、一戦交えていただろうな……。
 とうとう、俺が川口で下りるまで、女は足を組んだままだった。電車が揺れるたびに、女のパンプスの先をよけるのが嫌だった。
 マイホームの駅に着いたら着いたで、今度は、サッカー日本代表のユニホームに身を包んだサッカーファンが構内にあふれている。その人混みをかき分けながら、駅を出る。
 人間嫌いの俺には結構な出来事だよ、これ。