・漫画『ジョジョの奇妙な冒険』で知られる作家・荒木飛呂彦。
彼の漫画には、なぜか、鳩がよく出てくる。
荒木はホラー映画のファンなので、アルフレッド・ヒッチコックの『鳥』などの影響を受けて、鳥類を恐怖の対象として、とらえているのだろう。しかし、それにしても、どうして鳩である必要があるのか。
例えば、カラスでもよいではないか。鳩よりもよっぽど不気味である。しかし、鳩の方がカラスよりも登場回数が多いのだ。
荒木の漫画に描かれている鳩について、以下にまとめる。
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■『ジョジョの奇妙な冒険』
・第7巻(第2部)の「ハトと女の子の巻」。ジョジョとシーザーが争う場面で、ドバトが戦いの行方を左右するアイテムとして登場する。
・第69巻(第6部第6巻)の「集中豪雨警報発令 その3」。承太郎のスタンドが記録されているDISCがスピードワゴン財団に託されるシーンで、サヴェジ・ガーデンという名の伝書鳩が登場する。
・第88巻(第7部第8巻)の「緑色の墓標 その1」。スティール・ボール・ラン・レースの4th.STAGE中盤、リンゴォ・ロードアゲインが聖骸の一部(脊椎)の位置情報を付した伝書鳩を放つが、ルーシー・スティールが鳩舎に先回りして、その伝書鳩を捕まえる。
・第99巻(第7部第19巻)の「D4C その8」。背景に描かれている鳩の絵とともに、ディオが以下のように述べる。
「「きれい事」は
言わないぜ
しょせん
人間はハトの群れと同じだ
一羽が右へ飛べば全部が右へ行く
どいつもこいつも自分の利益と
うぬぼれしか見ようとしない
気取り屋どもの集まりだ
そんなヤツらの
ためにオレの母親が
死んだ事は
水に流して
やってもいいが
オレはもっと
気取らせてもらって
そういう「ハトの群れ」を
とことん上から
「支配」してやるぜッ!」
・第106巻(第8部第2巻)から登場する東方家の長女・東方 鳩(ひがしかたはと)。名前が「ハト」である。
■『変人偏屈列伝』
・発明家のニコラ・テスラがかわいがっている雌鳩が出てきて、この鳩とのやり取りを描くために数ページが割かれている(「ニコラ・テスラ」)
■『死刑執行中脱獄進行中』
・「岸辺露伴は動かない ~エピソード16:懺悔室~」に、ポップコーンを狙う、たくさんのドバトが登場する。
・「デッドマンズQ」において、ターゲットの男がいる部屋の窓に向けて、吉良良影が鳩をけしかける。
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以上のように、荒木の漫画には、鳩がよく描かれる。荒木のことを愛鳩家といっても差し支えないと思う。