メイトメア・アリー
2021年/アメリカ/サスペンス/スリラー/2:30/U-NEXTで視聴
カズデミー賞受賞
◆撮影賞
◆助演男優賞/リチャード・ジェンキンス/「シェイプ・オブ・ウォーター」
レビュー
時は大恐慌時代。ショービジネスでの成功を夢見るスタン(ブラッドリー・クーパー「アメリカン・スナイパー」)は、ひょんなことから見世物小屋を運営する怪しげな一座に加わりました。
映像の魔術師ギレルモ・デル・トロ監督
その一座は小人、生きた鶏を食う獣人、身体に電流を走らせる女など奇怪な者たちの集団でした。しかしそのような芸を見下すスタンは、読心術を身に着けトップスターになります。さらに一座の女モリー(ルーニー・マーラ「ドラゴン・タトゥーの女」)と恋に落ち、彼女を連れて独立を果たしました。
けなげな女を演じるルーニー・マーラ
そんなスタンの前に美貌の心理学者リッター(ケイト・ブランシェット「ベンジャミン・バトン数奇な人生」)が現れ、彼の読心術のイカサマを見破ります。そしてスタンはあっという間にリッター博士の虜になってしまったのです。
こりゃ誰でも篭絡されるでしょ
当然のごとくスタンの心変わりに気付いたモリーとの間にはすきま風が吹き始めます。その一方スタンの読心術はますます評判を呼び、詐欺まがいの降霊術にエスカレートしていきました。スタンとリッター博士のコンビは頂点を極めたのです。
ここからネタバレ 閲覧注意です
やがてリッター博士の前に新たなカモが現れました。大富豪エズラ(リチャード・ジェンキンス)です。エズラは若い頃死に別れた愛人に会いたくてしかたありませんでした。そこでスタンは一計を案じることに。それは愛人にそっくりなモリーを愛人の亡霊に仕立てて、降霊術を敢行したのです。
どこまでもかわいそうなモリー
しかしそのからくりはあっさり見破られ、スタンとエズラはもみ合いになりました。そして腕力に勝るスタンがエズラを撲殺してしまったのです。そんなスタンの暴挙に愛想をつかしたモリーは彼の元から離れていきました。さらにスタンは預けていた大金をリッター博士から持ち逃げされました。
天才悪女
殺人と詐欺の容疑者となったスタンは列車の荷台に身を隠し逃亡しました。そして逃げ込んだ先がよりにもよって見世物小屋でした。
オールスターキャスト
スタンは自分の経歴を得意げに披露しましたが、座長から読心術は時代遅れとの烙印を押され、別のキャラクターを与えられます。それはスタンがあれほど見下していた生きた獣を食う獣人の役でした。カメラが哀れな男に近づき、泣き笑いの顔を大写しにしたときエンドロールが流れ始めました。
二大女優の共演は見もの
異形の者や社会的弱者を撮り続けるギレルモ・デル・トロ(「シェイプ・オブ・ウォーター」「パンズ・ラビリンス」)。その幻想的な映像はもはや芸術の域に達しています。デル・トロが用意したキャンバスに名優たちの演技が色鮮やかに描き出されていました。
