こんにちは。
下北沢の平野さんこと僕です。

「下北沢周辺で好きなスポットはどこ?」と聞かれたら、
迷わず答えるのが、「羽根木公園」です。

先日の夜中、羽根木公園を歩いていると、遠くからギターの音が聞こえます。
僕は、「ミュージシャンのたまごが練習しているのかな?」と思い
なんとなく音が聞こえる方向へ、歩を進めました。

だんだんと音が近くなります。
良く聞いてみると歌も歌っている様でした。

「どんな人が歌っているんだろう?一人かな?二人組かな?」
僕は気になって、もう少し近づいてみることにしました。

すると、そこにいたのは、山岡さんでした!

「山岡さん!」

「お!フクヤンやないけ!何しとるんや、こんな時間に」

「山岡さんこそ、こんな時間にギターなんて、意外です。
僕はたまたま酔い覚ましで歩いていただけで・・・」

「フクヤンにこんな所見られたら恥ずかしいわ、ホンマけったいやで!」

「今、何を歌っていたんですか?」

「え?!聞いてたんか?自分!恥っず!
しゃーないな・・・さっきのはオリジナルソングや!」

「え!山岡さんオリジナルソングがあるんですか!」

「そや、誰にも言うんやないで!たまーにこうやって練習しとるんや!」

「凄い!是非聞かせてください!」

「フクヤンさっき聞いてたとちゃうんか?」

「いや、さっきはホントちょっと聞こえたくらいで・・・
ちゃんと聞いてみたいなーと思いまして・・・・」

「う~ん・・・・」

「あっ!ホント、山岡さんが嫌なら全然!ホント!無理しなくて」

「ええで!フクヤンには特別聞かせたる!」

「本当ですか!やった!」

「今日だけやで。でもフクヤン一個だけ約束してほしいんや。」

「約束・・・?」

「そや、約束や。」

「それはどういった・・・?」

「なーに簡単な事や!今から聞いてもらうオリジナルソングに
タイトルを付けてほしいんや!」

「タイトル・・・ですか・・・?」

「そうや、実はこの曲、タイトルがないんや。
曲も歌詞も自分なりにバッチリなんやけど、
いかんせん良いタイトルが浮かばへん!
そこで、フクヤン!自分が現れたわけや!
この曲を初めて聞いてもらうフクヤンにタイトルを付けてほしいんや。
個人的な解釈で申し訳ないんやけど、
やっぱ聞く人のイメージを大切にしたいんや!

実はこの曲はな、俺の生い立ちを題材にしとるんや・・・。
俺は小さい頃、親父には暴力を振るわれ、母親は遊び呆けて育児放棄、
親戚の家に引き取られてからはマシな生活が出来たんやけど、
今でも実の両親とは連絡なんて一切取ってない。
でもな、俺の親はあの二人なんや。
あんな親でも俺の親には変わりはないんや!

あれだけの事を経験して、今何故、こう考えるのか?
フクヤンも今疑問に感じているかと思う。

つい先日の事やけど、親戚の叔父さんから連絡があったんや。
親父が酒の飲みすぎで体を壊して、もう長くないんだと。
肝硬変や。
最初聞いたときは、嬉しかったで。
あのクソ親父がついにいなくなるんや!、せいせいするわ!って。
でもな、時間が経つと考えが変わってきたんや。

親父にもう一度だけ会いたい。。。
そう思う様になったんや。

そして、来週、親父に会いに行く約束になってるんや。

フクヤン、すまんな、長くなったな。
そんな歌なんや、このオリジナルソングは。
じゃあ聞いてくれ、フクヤン。」

「あっ!ちょっとお腹痛いんで帰りますね。」