慢性腎炎、腎盂炎、ネフローゼ症候群は「腎」を強化しながら、炎症を抑えるのが東洋医学の治し方です。
西洋医学ではステロイドなどを使用しますが、漢方と併用することで、ステロイドの量を減らしていくような使い方もします。
また、腎臓の機能自体が落ち、慢性腎炎や透析となった場合でも、「補腎」の治療により、腎臓機能を改善し、たちくらみや疲労感といった不快な症状を和らげ、体力をつける作用があります。
ネフローゼ症候群とは、血液中の蛋白が大量に尿中に漏れでることにより、低蛋白血症がみられ、さらに高脂血症と、むくみを伴う腎糸球体疾患の状態をさします。
幼児に多く、急性期の治療によって治るケースもあるのですが、慢性的に繰り返すことも少なくありません。
腎の機能が低下した「腎虚」の状態になっていることが多く、治療法は腎を強化する補腎法が中心となります。
腎虚は、さらに身体が冷える腎陽虚と、冷えずに手足がほてったり顔がのぼせたりする腎陰虚という二つに大別されます。
また、この両方が同時にあらわれることもあり、これは腎陰陽両虚というタイプになります。
腎陽虚の場合は、腎を強化しながら身体を温める作用のある八味地黄丸を用います。この処方は腎陰陽両虚にも用います。
腎陰虚の場合には、六味地黄丸を用いますが、視力減退や眼精疲労があれば杞菊地黄丸、呼吸器系が弱く慢性的に咳や痰の出る方には麦味地黄丸などを用います。
いずれの処方も腎を強め、体力を強化し、自然治癒力を高める作用があり、長期にわたって服用し、体質改善を行うもので、補腎薬と呼ばれます。
その他にもその方の体質に合わせて、
・帰脾湯
・五苓散
・玉屏風散
・補中益気湯
なども使用します。
食事はできるだけまんべんなく色々な物を食べ、ある程度の運動を心がけます。偏食と運動不足は病気がかえって治りにくくなります。
自分自身の体力の充実感が一番大事な目安です。