狙ったわけではありませんが、
またまた角川夏休みフェアからの
セレクトになってました
君嶋彼方
「君の顔では泣けない」
こちらの小説、
実は単行本の頃から気になっていたんです。
ストーリーなんですが
あの有名な
「俺があいつであいつが俺で」
「君の名は」
それらと同じく
ある日突然2人の男女が
入れ替わってしまうというお話です。
ただし、
それら2作品と決定的に違うのは
なんと
入れ替わったまま
元に戻らない
というところなんです
入れ替わったのは高校1年の
坂平陸と水村まなみ。
夏、プールに一緒に落ちたことが
きっかけで
体が入れ替わってしまうんです。
いつか元に戻ると信じ
入れ替わったことは
二人だけの秘密にすると決めたふたり。
ただ、まなみの方は“坂平陸”として
そつなく生きていたのだけど
陸のほうは
うまく“水村まなみ”になりきれず
戸惑いを隠せず時が流れていきます。
新しい家族や人間関係、
かなりリアルです。
入れ替わったお話にありがちな
お互いの身体を見たり見られたりして
騒ぐとか
そんなところはむしろどちらでも良くて
陸が女として体験した
生理や痴漢、
過酷さや困難さが赤裸々に描かれていて
女って大変なんだな、なんて
女の私が言うのもなんですが
客観視してしまったのは事実です。
陸は中身は男なのに女として生き
恋愛、やがては結婚
そして出産も。
こんな数奇な運命を共有する2人は
一年に一度再会し
お互いを確認し合うのですが
ところどころで泣けます
特に自分の本当の両親に
自分はここにいる、と
名乗れないその悲しさや切なさ
また、自分が自分として生きていけない
辛さなどが
ジェンダーと重なり
そこも著者の思惑の一つなのだろうと
思ったりしました。
読んで良かったし、
いい小説だと思った。
こちら、
なんと映画化されると。
観たいかも