私はまた常山城跡まで登りました。
家来さんから、
またあの旨いお酒を献上するよう
何度もお誘い頂いておりました…
皆様が関東から引き上げる際に
お約束をしていたのですよね…
またお酒持って行きますと…
なので、今度も
また一升瓶を持って、
お礼参りに行きました。
そこで、常山城主様に、
畏れ多いとは思いながら、
お聞きしてみました。
「殿様、私はとても不思議に
思っていることがございます。
畏れながら、
お聞きしてもよろしいでしょうか？」
「何でも申してみよ。」
「今、この常山城の跡地を
散策していると、
まるで聖域のように清々しく、
清らかで、
守られている感じがします。
どのようにして、
あのような酷い出来事から、
このような美しい聖域を
作られたのですか？
何百年もの間、
ずっと怨霊悪霊となって祟り、
この世をさまよい続けている
霊さん達もいるではないですか？
殿様と彼らの違いは何ですか？」
「わしも悪霊じゃったのじゃ…
怨霊となり、祟っておった…」
「どうやって浄化されたのですか？」
「わしは、宿敵をずっと呪い、
奴が死ぬまで、
側でずっと取り憑いておったのじゃ。
あやつの最後は、
それはそれは悲惨なものじゃった。
のたうち回って
長いこと苦しんでなくなりよった。
やつの死に様を見たとき、
すーっと心が晴れたのじゃ。」
「それから、どうなされたのですか？」
「すーっと心が晴れると同時に、
わしはこの世からあの世へと向かうことができたんじゃ。
そしてな、大切なことに気づいたのじゃ。
この地の領民(良民)達は、
わしらを弔ってくれた…
ここを見よ…
わしらは、今でも
これほどまで、
大切に思われておるんじゃ。
見るが良い…
ここからは、良民たちが
穏やかに暮らす様が
よく見えるのじゃ。
わしはここから、
良民達の穏やかな暮らしを眺め続け、守り続けたいと
願ったのじゃ。」
「それでは…
この地域の守り神様に
なられたのですね…」
「そうじゃ。
わしはそうなりたいと願い、
そうなるべく天上でも精進を重ね、
ようやっと、
こうしてここで、
見守れるようになったのじゃ…」
「ありがとうございます…」
「大義であった。
精進致せ。」
リールの後半の光溢れる慰霊塔は、
2年前のもの…
三度目に訪れた時の事です…
慰霊塔の奥から
ひらひら蝶が飛んで来ました…
参拝し、帰る時には、
同じ蝶が私達の頭上に
触れるようにかすめ飛んでくれ、
まるで、良い子良い子と
頭を撫でて頂いたかのようでした…
蝶に見送られて、
駐車場まで戻りました。
常山城のお話は、
歴史に消えた
美しく悲しい物語とともに、
人はどのように生き
どのように死に
死後どのようになるか…
全ては自分で選ぶ事なのだと
気付かせて頂き、
自分も精進せねばと
思わせてくれるのです…🙏
次回の投稿は
常山城の投稿のラストを飾る、
鶴姫様から
城主様へ
お花を託されたお話です。
死後も、人は思い合えることを
お伝えさせて頂きます🙏✨
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