藤井孝昌です。

 

ユニークな研究に贈られるノーベル賞のパロディー版「イグ・ノーベル賞」を発表され、今年は「多くの哺乳類がお尻から呼吸ができる」ことを発見したとして東京医科歯科大学の武部教授らの研究グループに「イグ・ノーベル生理学賞」が贈られました。

 

武部教授らはドジョウなどの一部の生物が肛門を通して腸内から酸素を取り込んでいることに注目し研究を始めました。

 

当初は酸素ガスを直接哺乳類の腸内へ注入する方法を試しましたが、酸素の吸収量が少ないことや、腸が破裂するリスクがあり別のアプローチをとる必要がありました。

そしてその後、酸素ガスではなく酸素を多く含む特殊な液体を使用する方法へ変え、呼吸不全の哺乳類の症状が改善することを明らかにしました。

 

武部教授らの「腸換気法」は完全に肺の機能が失われた患者の「肺呼吸」を代替するものではありませんが、人体の治療に応用した場合には、従来の人工呼吸器や人工心肺装置を使った治療に比べて体への負担が軽減できると見込まれています。

 

人体での臨床試験もすでに始まっており、「腸換気法」を利用した治療は2028年ごろにも国内で実現する可能性があるとのことです。