藤井孝昌です。

 

「溶血性レンサ球菌」という細菌がのどに感染して起こる病気が溶連菌感染症です。コロナ禍で感染が収まっていましたが、昨年の5月頃から感染拡大が続いています。

 

発症しやすいのは5~15歳頃で、最も多い症状はのどの炎症です。急な発熱と頭痛、のどの痛みが続くことが典型的な例で、皮膚炎などを引き起こすこともあります。

 

数%から30%程度の子どもが菌を保有しており、のどの奥に定着しています。そして大体2メートル以内の会話で飛沫感染すると考えられます。学校や家庭での感染が多く、冬と春から初夏にかけての2回が感染ピークとされています。

 

治療にはペニシリン系の抗菌薬を10日間服用します。服用から3日ほどで熱は下がり、その他症状や人に移すリスクがほぼなくなることが多いとされています。

 

しかし、完治前に服用をやめることで、細菌を殺しきれず免疫機能に異常をきたし心筋にダメージを与えるリウマチ熱などが起こる可能性があるため、最後まで飲み切ることが重要です。

 

また、99%以上の患者はのどの炎症などの軽症で済みますが、ごくまれに菌が血液中に流れ込むことで急速に症状が悪化する「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」を引き起こすことがあります。劇症型は60歳以上に多く見られ、足の壊死やショック症状などを引き起こし、致死率は3割程度とされています。

 

のどに痛みがあり、感染の疑いがある場合には必ずマスクを着けて感染拡大防止を心がけ、早期に受診し処方された抗菌薬を飲み切ることが大切としています。