藤井孝昌です。

 

ブタの臓器を人に移植する「異種移植」を巡って、国内の複数の医療機関が臨床応用に向けた準備を進めていることがわかりました。今年から来年に向けて、ブタの腎臓や心臓、膵臓の組織などをサルに移植する実験を開始し、人への応用を目指すとのことです。

 

移植には、人に移植した際に起こる強い拒絶反応を回避するべく、遺伝子改変したブタを用います。明治大発の新興企業「ポル・メド・テック」は2月に米バイオ企業が開発した細胞を使用した遺伝子改変ブタを3頭誕生させました。今後も生産数を増やし、異種移植を研究する国内医療機関に提供を予定しています。

 

また、京都府立医科大や鹿児島大のチームは、今夏にもブタの腎臓をサルに移植し臨床研究の実施を目指すとしています。治療対象は、免疫の状態が原因で通常の腎臓移植を受けると拒絶反応が起きてしまう患者を検討しています。

 

他にも、福岡大の小玉正太教授はブタの膵臓に含まれている血糖値を下げホルモンを分泌する「膵島」という組織をサルに移植する試験を行うとしています。そして2年後には、1型糖尿病患者を対象とした臨床研究につなげる計画です。