藤井孝昌です。

 

徳島大学の竹本龍也教授と徳島大学発のベンチャー企業セツロテックなどは、卵の中のひなの性別をふ化する前に「目の色」で判別する新手法を開発したことを発表しました。

 

開発の背景には、人が食べる卵を産ませるために生産されている鶏はオスは不要な存在とされ、生まれてすぐに殺処分さています。世界中で60億羽以上、日本国内でも年間1億3000万羽以上に上ると推定されており、この現実を変えるために開発が行われました。

 

開発した手法は、鶏の性別を決定する染色体上にある「目の色」に関する遺伝子にゲノム編集を施し、卵の中にある鶏の胚の「目の色」の違いで性別を判断するというものです。

この手法を用いれば、鶏の場合は最短で卵が産み落とされて1週間の段階でオスは「黒色の目」であり、メスは「無色透明」であることから見分けることが可能です。

 

この手法で用いられるゲノム編集は、もともと鶏が持っている遺伝子の一部をなくす「非遺伝子組み換え型」であり、鶏でない他の種の遺伝子を取り込む「遺伝子組み換え型」とは異なります。これまでふ化前にひなの性別を判別する技術開発は進められてきましたが、遺伝子組み換え技術を使わずに法律で規制されている時期までに簡単に性別が判別できる手法は開発されてきませんでした。

竹本教授らはこの手法の日本国内における特許を取得し、数年後の実用化を目指しています。