「実の娘をナンパ〜♪」と云えばジャパニーズレゲエの元祖、RANKIN TAXI。

私がほんの一瞬、ある少年の父親をやっていた頃に、小学4年の女子を共にナンパした事がある。

少年の転校して初登校日が間近に迫っていたある日。私と少年は近所の公園に出掛けた。
少年は逆上がりが出来なかったので、その練習の為だった。
先客が居た。

その女の子は、ひとりきりで鉄棒遊びをしていた。逆上がり、足抜き回り、足掛け回り。とても上手に回っていた。

少年は、彼女に釘付けだった。

私は少年に囁いた。
「彼女に鉄棒を教えてもらうテイでナンパしようぜ。」
少年は顔を真っ赤に染めて拒否した。
私は諦めず、
「じゃあ、私が声掛けて良いか?お前に鉄棒教えてくれって。」
少年は黙って頷いた。
私が声を掛けると、彼女は快く少年の相手をしてくれた。子供は一度打ち解けると早い。次第に彼女の友達も数名集まって来て、少年もその仲間に迎えられるまで、そう時間は要らなかった。

帰り際、ちゃっかり電話番号まで聞いていた。

さて、私自身の初ナンパ体験と云えば13歳の頃。
千葉県は成田山新勝寺の境内。

私は友人のTくん(キムタクかぶれ参照)と2人で、ベンチに一人で座る女子高生を見ていた。
ジャン負けした方が一人でナンパする。というゲームだった。

私が負ける。

Tくんは近くの茂みに隠れ、私はありったけの勇気を振り絞って、声を掛けた。

「あの、と、隣座っても良いですか?」

そこから先は何を喋ったのか、ほとんど覚えていない。ただ、その女子高生はしどろもどろしている私に対して、ずっと優しく頷いていてくれた。
とても素敵な女性だった。

「あの、所で、誰かと待ち合わせですか?・・・もしよかったら」

私がそこまで云うと、彼女は突然視線を遠くに移し、笑顔で誰かに手を振った。

その先に、金髪の、長身かつ、屈強な身体の、いかにもなタフガイが居た。

すぐさま逃げた。
全力で走った。

その様を、茂みに隠れながら見ていたTくんは、私の事をしばらくの間『ワイルドダッシュ』と呼んでいた。