Kindle版「毎年120万円を

配れば日本が幸せになる」
井上智洋・小野盛司著
(2021年・扶桑社)









 日経NEEDSという公的

機関、大企業でも活用さ

れているデータベースを

もとに、

井上智洋准教授(経済学)、
 

日本ベーシックインカム学会

理事を務める小野盛司
 

(理学博士)が、全国民に

毎年120万円、毎月10万円
 

支払うとどうなるか、

また、そのことにより、

 

日本経済が
 

「失われた20年(または30年」か

ら立ち直れるのではないかと、

問題提起するものです。












 日本人の倹約精神、高度成長期

の経験から、日本社会では、「どん

なものでも借金は良くない」という意

識が定着しており、デフレーションを

克服した歴史を忘却していると感じ

ました。
 

 例えば、江戸時代の荻原重秀

(「貨幣は国家が造る所、金でなく瓦

礫でもよい」)による貨幣改鋳「元禄

小判」は、庶民生活への影響をさし

て大きなものではなく、幕庫に500
 

万両もの財政黒字をもたらし、貨幣

価値の下落で富裕層の貯蓄が投資

に動き、経済は元禄の好景気につな

がったということ、世界大恐慌の際、

高橋是清の積極財政政策で景気回

復したこと等です。













 よく国債を発行して日銀に引き受

けさせ、市場に流通する通貨量を増

加させると、激しいインフレーションに

なるのでないかとの疑問が提起され

ます。

 しかし、日本は、ギリシャと異なり、

基軸通貨を持っており、経常収支は

黒字であり、通貨発行量と実体経済

のバランスを図りながら、国債発行に
 

より国民全員へ毎月10万円、

年120万円を給付しても、
 

上記日経NEEDSによる試算によれば、

インフレ率は約1%ぐらいに留まると

のことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さらにいえば、現在、日銀・GRIF(年金

積立金管理運用独立行政法人)は、ETF

(Exchange Traded Fund・上場投信信託)

購入により、企業収入を増やしています

が、全国民に対する現金給付を行い、

収入を増やした方が、お金を使う人数が

増えるため、一気に消費活動が増加し、

経済活動が活発化するということに、

そろそろ、財務省官僚も目を向け、マインド

セットして、緊縮財政(企業経営で言い換え

れば「何が何でも無借金経営を目指す」)か

ら、積極財政(現在のアメリカ等のようにイン

フレが過熱しないように注意しながら「経済

活動を活発化させる個人のお金の量(マネ

ーストック)を増やす」)へ、政策転換を図る

べきだと感じます。










 
 「温故知新」の精神により、「失われた20

年(または30年」の失敗を教訓にして、今後

の日本経済発展のための方策を、本気に

議論するべき時期が来ていると感じます。



 ぜひ、ご一読ください。