たまに思い出すのがこの映画、「誘拐報道」
1人で観に行ったのかどうかも憶えていませんが、まだお小遣いを映画代に使うには厳しい年齢でしたので、
両親と行ったのか、もしくは父がたまにもらってくる無料鑑賞券で1人観賞だったのではないかと思います。
1980年に発生した宝塚市学童誘拐事件のドキュメンタリーを原作とした東映・日本テレビ提携政策映画。
とにかく上映前からのテレビCMがインパクトありでした。
「うち、お父ちゃん好きや!!」
という子供の声からスタートし、雪の寒く淋しい風景を流しながらボーイソプラノの主題歌が物悲しく流れていく10数秒。
確かな演技なのですが、このお方、狂気じみた演技になると滑舌が・・・。
そして子供を誘拐される夫婦に、前記事でご紹介した岡本富士太さんと、秋吉久美子さん。
各エピソードを全部憶えていないのですが、記憶に残っているのは主役の誘拐犯サイドより誘拐されどんどん狂気に追い込まれていく子供の両親と、犯人との駆け引きを繰り返す(でも失敗する)警察、そして報道サイド。
自宅で誘拐犯からの連絡を待つ緊迫したシーンがつづき、妻が作ったチャーハンを立ちながら眼光鋭く口にかきこんでいく夫(岡本さん)の表情は、子供を思い苦しくて何も喉を通らないなどというよりはるかに印象的。
息子の生死が判らずの恐怖を飲みこんでしまおうといような、鬼気迫るものでした。
そして本作は、歌手の小柳ルミ子さんが最優秀助演女優賞を。初の演技で高い評価を受けたということです。
そして
「うち、お父ちゃん好きや!!」
CMで幾度となく聞いたこのセリフが、誘拐犯の家族となり世間を追われることになった小さな娘が報道者に向けて叫んだ言葉だと判り、最後の最後に大きなクライマックスを呼びました。
主題歌の「風が息をしている」
谷川俊太郎氏が作詞しています。
「誘拐報道」、いつかレンタルしてまたゆっくり感動したいと思いますが、上映当時 姉の彼氏がうちに遊びに来たときに、主題歌のボーイソプラノを真似していたこともインパクト強すぎという、そんな思い出も含まれた作品です。