先日とりあげた「不確かな存在たち」

(町澤静夫監修・常蔭純一著)という本。

 

痩せ姫がもうひとり、登場するので、

軽くメモっておきたい。

 

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智恵子(仮名)は都内の私立高校の三年生だった。

目鼻だちがはっきりしているため、

頬骨の浮かび上がり方がいっそう強調されて見える。

拒食症に陥るまでは

愛らしい表情の持ち主だったに違いない。

体重は32キロ。

体重から見ると

症状はそれほど深刻ではないかもしれないが、

(略)シャツの下にベルトを強く締めて、

食事を受けつけないようにする狡猾な一面があった。

こうした態度は、障害が深刻化する危険性を示している。

 

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痩せるための方法として、

ウエスト締めを取り入れていたんだな。

それにしても「狡猾な」という形容は気の毒だ。

本人にしてみれば、切実な工夫なのに。

 

そして、彼女はカウンセリングでこんなことを口にした。

 

「私には家庭なんてないんです」

 

どういうことかと言うと、母親が子供っぽい人で、

家事や育児にも、娘の恋愛などにも、

興味を示さなかったらしい。

それゆえ、痩せることに走った原因についても、

「母親からでなければ得られない充足感」を、

得られていないという「慢性的な飢餓感」が、

限界を超えたからではと分析されている。

 

以上、この本を書箱に戻す前に、

気になるところを記事にしてみた。