以前、北野誠の怪奇番組で、

徳島県三好市にある賢見神社の『犬神祓い』を見た。

犬神に憑かれると『噛み跡』が出来るらしく、北野誠はまさにその症状があり、

もう1人の出演者も大病を患ったりして大変危ない状態なので、

2人そろって宮司さんにお祓いしてもらうことになった。

 

 

だが、祝詞が始まると「ん?」となった。

所々は何となく『天照大神』とか『きつね、たぬき』とか言ってるのがわかるのだが、言葉が独特と言うか「日本語か?」と疑うような意味不明の言葉が混じっていて

一瞬ヘブライ語ではないかと勘繰ったほどだ。

 

 

一通り祝詞が終わると、

今度は金幣で頭・肩などをシャラシャラとなでる。

紙幣でないのは珍しい。

金属の幣──これって、と妄想がふくらんだ。

そういや龍神は金氣を嫌うんじゃなかったっけ?

ん〜どういうことだろ。

犬神も金氣を嫌うんだろうか?

 

 

 

 

五行相剋の関係で言えば、

金氣は『木』に強いことになる。

つまりこういうことだ。

五行思想で言えば龍は木にあたる。

で、金は木に勝つ『金剋木』となり、龍は金氣を嫌う、ということらしい。

んじゃ、犬神も『木』なのか?

だから金幣で祓うのか?

 

 

 

 

いや待て。

たしか『桃太郎五行説』によれば、

桃太郎のお供の猿・雉・犬は『金氣』の十二支を象徴する動物だったはず。

上の表を見ればわかる。

申・酉・戌は『金』なのだ。

つまり犬と雉と犬は『金氣』ということ。

んん!?

ならば犬神はどーなる?

犬神が『犬』なら金氣ということになるじゃないか。

どういうことだ?

金氣の犬神を金幣で祓えるのだろうか?

そこらへんは謎──と言うか矛盾するし、納得がいかないが、

賢見神社の犬神祓いでは金幣を使う。

金幣を。

金氣を。

 

 

 

 

これ ↑ 賢見神社の御朱印。

大きな四角の中に『賢見白王大神』とある。

その下にいるのは素盞鳴尊だろうか?

なにやら多くの犬たちを従えている。

う〜ん、この犬たちは明らかに『金氣』だよなぁ。

あ。もしかしたら犬神って『犬』じゃないのか。

うろ覚えだが「犬神の正体はネズミくらいの小動物」と聞いたことがある。

でも、ネズミは五行で言うと『水』なんだよね。

水氣は金幣では祓えない。

むしろ水と金は相性がいい。

となると──犬神の正体は『木氣』の何か、ということになる。

木氣のものと言えば、

寅・卯・辰──となると犬神の正体は、虎か兎か龍ということになるが。

 

 

 

 

犬神の正体に行き詰まったところで、

江戸時代に書かれたとおぼしき『奇獣考』という書物に、

こんな奇獣が紹介されていた。

脚と爪は異様に細長く、耳は巨大、口には上向きの牙が生えている。

頭から尾までは9寸6分(約30cm)ほど。喉と腹、4本の足の裏側には毛がない。

 

 

さらに『奇獣考』の面白いところは、

図、経緯にとどまらず、この一件についての考察パートまでついていることだ。

筑前福岡藩10代藩主の黒田斉清の『奇獣』についての考察によれば、

土州の奇獣は犬神のうちサイトウと云、

是をつかうをサイトウ遣いと云、

所謂オホサキ、クダ等も犬神の一種なり。

なんと!

上のへなちょこな『奇獣』は犬神の一種だという。

しかも土州と言えば土佐のことだ。

土佐にも憑き物としての犬神は存在する。

土州に現れた犬神を見ると、耳は兎、体毛のシマシマ模様は虎に見える。

かろうじて爪のある足が龍に見えなくもない。

話を戻すと──

金氣に弱い『木』の生物は虎・兎・龍。

この奇獣が犬神ならば、その姿は『虎と兎と龍』の合体に見えなくもない。

つまり犬神は『木』──金氣の金幣で祓える!

そう妄想族のわたしは断言する。