いまさらキングオブコント感想。

今年はさらっと書きます。


1 藤崎マーケット

本当に言っていたとおり、一番手じゃなければというネタ。シュール系だからね。

こういったパフォーマーのところに知り合いが来るネタは、すぐに突き放してしまって堂々巡りになりがちだけど

父親の話に耳を傾けているのが良い。

オチはああだったけど。


2 ジャングルポケット

正直、ネタ番組でジャンポケが出てきたらチャンネルを変えてるので

しっかりとネタを見るのは初めて。

感想としては、斉藤さんだけのワンマンチームだと思っていたけどかなり3人とも熱量があるんだなという印象。

もうちょっとネタ番組だと、スラッとネタをやっているイメージだったんだけど。

いわゆるバラエティ番組では、この熱量は少し疎ましく思うけど賞レースでは「評価にかかる」という安心感があるから見れたんだろうな。

ネタとしては、斉藤さんがすごいクズみたいな事言ってるけど、倫理観の違いで間違えたことは言ってないってのがギリギリのラインを越えてなくてすごいなって思いました。


3 さらば青春の光

さらばにその概念があるのかどうかわからないけど、ボケとツッコミを入れ替えたネタ。

準決勝ではかなりウケて上がってきた様。

去年は準決勝では受けてなかったけどテレビ媒体だとそこそこ良かったという印象を持ったんだけど、今年は逆に生で見た側があんまり評価しなかったですね。

「キリストを殺したのは誰だ」とか「左利き!才能がありそう!」とかポイントポイントでは良かったんだけど、叫びネタだけにネタ全体が線でなく点でしか無かったのだろうか。

というか、点ひっく…点ひくない?

期待値の裏返しなのか?というか、さらばは松竹にいた頃のネタの方が評価されてることになるよね。


4 コロコロチキチキペッパーズ

妖精。ナダルの声の良さと顔の濃さを利用したネタという感じ。

準決勝では「まあ受けてたけどコロチキ当たりは落とされちゃうかなー」みたいな反応だったけど、これはテレビだからこそ受けるネタだし伝わるネタのように思う。

途中からルール追加をしておいて第一ルールで落とすというボケであったり、触ったらダメというのにいかに触らそうとするか、みたいなボケの入れ方がしたたかだなあと思いました。


5 うしろシティ

魔法陣のゲートがゲートボールのゲートで作った、という始まりのネタ。

これも準決勝では大ウケでの進出と聞いていたけど、不発に終わった感はあるね。

老人キャラをやると、テンポを犠牲にするから強いワードかシチュエーションを作らないといけないけど、そこまでは作れなかったのが敗因ってとこなんだろうか。

オチを下ネタで落としたってところがアイドル芸人からの脱却ってところなんだろうけど、こうなんというか、そこじゃない気がする。目指すところは。


6 バンビーノ

ドゥビザ。僕がバンビーノをバンビーノとして認識して始めて見たネタがこれでした。(その前に演芸パレードでネタを見てる)

準決勝では大して受けてなく(それもそう、有名なネタだから)進出にクエスチョンがついていたけど

やはりテレビ映えはするんだなあ。

バンビーノは2700的なシステマティックなネタをやるのが好きというのは他のネタからもわかるんだけど、このネタはそこまでではないよね。分かりやすさにかなり絞り込んだ感じ。それがいいのかどうかはわからないけど。


7 ザ・ギース

ギースが優勝したらカープに寄付するって言ってたけど、意外と1千万は少しの足しにしかならないんすよね。

「メタネタだけど決勝では大丈夫だろうか」って危惧されていたけど、メタネタ以前にアフターの方のボケ量が少ないから

「ああ、なんだそういうことか」止まりというか。でも、メタネタで準決勝をくぐり抜けてきたのはすごい。もっと言えば、今年はメタネタを落とすことが出来ないぐらい決勝に挙げられる要員が少なかったとも言えるけど。去年のチョップリンのネタなんか今年だったら通ってたかもしれないし。

このネタこそ芸人審査で評価してほしかった感はあるよね。すごく評価しそう。


8 ロッチ

ロッチのネタ、たまーに「いいなぁ」と思わせるネタがあるけど、このネタは好きだなあ。コカド演じる店員が笑ってしまいはするけど、基本的には店員であろうとしようとするでしょ?そこがいい。前から賞レースの感想に書いているけど、面白さを追求しようとして、あるべきキャラのリアリティを崩壊させてしまう芸人が多いけど、やはりそこは崩してはいけない。藤崎マーケットの項でも書いた「否定をしない、拒まない」もその一部ではあるんだけど。

あと、どうでもいいですけどパンツがグレーなのがリアリティあって良いですよね。これ、白のブリーフだったらわざとらしいなって思っちゃうもん。


9 アキナ

鳥やん。

あー、関西っぽい。

昨年も述べたんだけど、賞レースには流行りというものがあって、基本的には昨年からの風潮が影響されて

今年は「ボケの手数ではなく、劇としてのコント」つまりシソンヌが評価されたストーリー力が流行りで

アキナの前半は後半への布石、ってのもその流れなわけで

それを「仕掛けが遅い」ってのは元も子もない評価では?というか、今回の審査は結構「それ元も子もなくない?」っていうコメントが多かったような。

こう、何か倫理観を犠牲にして笑いにするのは関西っぽいですよね。


10 巨匠

改めて、そういえばテレビってブラックを嫌うんだってのを思い出したネタでした。

去年の巨匠のネタの良かった点として、ブラックの中にも倫理的な教育を施していたところなんだけど、今年のネタはそうではなかったところが低評価につながるのかなあ。ひっく…点ひくない?

しかし「この設定ならもっと面白くしなければいけない」って重いなあ。

他の芸人より評価重ない?

そして追い打ちのように「昔なら好きだった」だからね。さらばと巨匠には評価が重すぎるよ。期待の現れなのかもしれないけど。この「昔なら好きだった」発言は今年のキングオブコントがどういう大会なのかわかってしまった発言だったなあ。特に松本人志が言ってしまったのが。


ファイナルステージ

○ジャングルポケット

他のネタ番組でもやったことのあるネタだったみたいだけど、このすれ違い感は少し東京03みたいだね。

やはり、賞レース上だという安心感がある。なんだか今まで食わず嫌いだったけど、まあ食べれんことはないというのがわかった瞬間だった。

2本目の方が、平和的なネタで良かったと思います。でも1本目の方が3人の力が出ていた感じはする。


○藤崎マーケット

キングオブコント、セットが派手だとウケない問題ですね。2008年に戻ったみたいだ。本当の親子ではないとわかったところで本来はウケないといけないのはわかるんだけど、その前に蹴りあげてるしセット壊してるし「え、どうするの?」の方が先に来てしまったから笑いが前に来なかったのはちょっと否めないかなあ。そこまで大きな仕掛けでもないし。

「もうちょっとウケてもいいはず」っていうコメントに救われたネタでした。


○バンビーノ

この前のツギクルもんで見たネタ。

その時も割と面白かったけど、やっぱり何も考えないで見れるっていう強みはある。

というか、このネタを見た時にキングオブコントでやるんだろうなあって思ったら案の定だった。ま、勝負ネタでなければ本番の前にネタ見せしないか。

実際、よくあるタイプのネタだけど

バンビーノのリズムネタをする

というイメージが逆に入り込みやすくしている。

よく出来てるネタだと思います。


○コロコロチキチキペッパーズ

懐かしいなあ。まもって守護月天。


肝心の「さぁ」と「くれぇい!」のところはしつこさの割にはそこまで強いボケではないんだけど、わざとナダルに見せるところなんかはしっかりと見せ方を考えているなあと思う。それよりも1本目はナダルを、2本目はナダルを見せつつ自分を目立たせるという西野のしたたかさを感じる。ネタはこっちが作ってるんだろうか。


○ ロッチ

優しいネタをやろうというのは分かったんだけど、弱い、弱いなあ。

平和すぎる。

ロッチもボケとツッコミを入れ替えた、というか役割を変えたネタをやったのだけれど

結局それが平坦な印象しか持たせられなかったのでは。



優勝はコロコロチキチキペッパーズ。

これはロッチが優勝させて“しまった”格好だと思うよ。

4年目のコロチキが優勝しても、まだ仕事を捌ける段階にないのに。


さて、今回準決勝を終えて決勝進出者が発表された時点で進出に疑問をなげかけられたのが

ロッチ、バンビーノ、ジャングルポケット。

これら3組とも上位進出しています。

そして、審査員の発言

準決勝で大ウケしたのにも関わらず惨敗した、さらば青春の光・うしろシティ。


これらのことからわかるのは、今回のキングオブコントのテーマが「テレビ向きの芸人を作る・探す」ということ。

これは去年のシソンヌの優勝を受けての結果だと思います。

審査方法を変えたのもそう。

ガチだった昨年の審査基準からテレビ向きの芸人を入れこんだのもそう。


芸人ユウキロックはこう言いました。

「劇としてのコントの死」と。

賞レースには流行りがあると言いましたが、こうなったのが時代の流れでなく

テレビ側の抑制であるのが今年のキングオブコントの腑に落ちないところ。


審査員も、テレビにどっぷり浸かっているため言うことも評価もテレビ的。

松本人志でさえ「昔なら好きだった」と挑戦的な姿勢を失ってしまったことを漏らしてしまった。唯一、設楽だけがネタの本質を見抜き発言していたように思えた。


昨年、「テレビ媒体の限界」としてテーマを挙げたが、まさか舞台レベルの方を根絶やしにして、テレビの方を生かす方法を取るとは思わなかった。

決してコロコロチキチキペッパーズの優勝が不服なわけではないが

今回のキングオブコントが何かおかしな空気のまま進んで行ったのは、準決勝の舞台レベルの空気とのギャップ、のようなものを感じる。大きく感じる。


劇としてのコントが死んでしまった今、果たして来年のキングオブコントはどうなってしまうのか。少し不安を覚える。