準決勝
決勝展望

そういえば、敗者復活の観覧に行ってきました。なので、敗者復活者の項ではそのことを踏まえて書きたいと思います。

今年から審査員が減りましたね。スポンサーもいない、番組の規模も縮小して、いよいよなんですかね。
審査員が減った分、お茶の間投票の割合が増しました。1位には3票、2位には2票、3位には1票。
より、一般視聴者の感性と乖離した審査結果を生ませないという配慮に見えます。
桂文枝の「面白い芸が見たいです」というのもなんだか意味深だなあ。

それではAブロック。
の前に敗者復活発表。あ、ここでするんだ。
敗者復活3位はCOWCOW善し。
あ、うーん。確かにそこそこ受けてはいたけど、準決勝辞退で敗者復活一発で決勝ってやっぱり本当は最初っからあげるつもりだったんじゃないの?っていう疑問は拭えないな。


1:ゆりあんレトリィバァ
オスカー賞が近かったし、タイムリーなネタでしたね。このネタが面白く感じるか否かというところは「外枠の捉え方」にあると思うんですよ。要は英語の中に関西弁が混じるという意外性を瞬時に把握できるかどうか。なんとなく「英語のネタなのかな」とボヤーっと聞いてると面白みがないネタだと思います。「よし、どんなネタなのかな?英語のネタ?わっ!関西弁!」ってなってやっと笑いになるような。
だから、準決勝ではものすごくウケたし、審査員も評価したのに、視聴者投票はドベという結果になったのでは。
お茶の間ってダラーっと見るものだし。

2:あばれる君
事前インタビューでは「準決勝とネタ変えるかも」と言っていたけど、正直変えない方が良かったと思うなあ。準決勝でやったネタの方が。もしかしたら、ファイナルに上がってやろうと思っていたのかもしれないけど、浣腸のネタでファイナルに上がれるわけがないでしょw
なぜ、このネタで勝負に出たんだ。でも、あばれる君って下らない事を思いっきりやることが美学だと思ってそうだから、このネタで行ったのもそういうことなんだろうな。

3:とにかく明るい安村
このぐらいから拍手笑いも増えてきたような。観覧に来てる層ってのは、このネタを知っているだろうけど、現地だと笑ってしまうよねー。
それはそうと、途中の「ヘェイ」被せのところを抜かしたのは何故なんだろう。あそこが核だと思うんだけどなあ。まさか、ネタが飛んだってわけじゃないだろうに。あれをやってからAKBじゃないと、急すぎる。

4:カウカウ善し
前の、とにかく天丼を多様するネタに比べたら、かなりスマートに見られるんだけども
逆に「これ、善しじゃなくてもいいのでは?」という気持ちにさせる。つなぎの演技も、あまり慣れてない感じがするし。例えば、ラーメン二郎がにんにくも無くなり背脂もなくなって、食べやすくなりました!
っていうような。まあ、ネタはわかりやすくてとっつきやすかったですけどね。今までよりかは面白かった。

審査員。ゆとりあんw板尾が言ったような「ネタにできそうで出来ないところをネタに出来る凄み」みたいなのは芸人でしか評価できないよなぁ、と思った。ネタを作る側の目というか、プロの目というか。

Bブロック
敗者復活はマツモトクラブ。ほー、これは意外。というのも準決勝と敗者復活で同じネタだったので
準決勝の観客投票で入れるならともかく、敗者復活に行くような人がわざわざマツモトクラブに入れるとは思えない。ということは審査員の中で一定の評価があっての選出ってことになる。確か3回戦トップ通過だったらしいし。

1:厚切りジェイソン
いつもより緊張してるのか、「WHY」の部分が上ずっていましたね。これにより、緩急ができてしまって逆にテンポが悪くなっていたような気がします。それと、漢字を間違ってしまったところから、あからさまに厚切りジェイソン自身も客もトーンダウンしてしまい、結果として凡百な印象しか与えられぬまま終わってしまったような。芸歴4ヶ月だから、やはりその辺のカバーというのは難しいのでしょう。

2:エハラマサヒロ
準決勝と少しネタを増やしたりしていたけど、根本的な部分は変わっておらず
やはり、散漫な印象を持たれたかというところ。こういった、モノマネや細かいネタの定めですね、特に構成力のあるネタが出来ないと言うのは。

3:アジアン馬場園
ダメだよ、「時は来た。それだけだ」って言ったら後ろで笑ってる人がいないと!とろサーモン村田!君だ!
冗談はともかく、冒頭の部分で笑いが来なかったら、後半で取り返しが効くネタでもないので
苦しいですね。「ここは品川区だよ!」はやはりそこそこウケはあったものの、オチも良くないし
これでは決勝にあげて損だったかも。準決勝では「アリっちゃあアリ」って感じだったのだけれど。

4:マツモトクラブ
意外とこういった1人コントってr-1で見ないので、新鮮ですね。昨年、ミヤシタガクがやったけど
あれはブラックジョークだったし、ポップでしっかりとしたネタって難しいですね。
ハーモニカが出てきたところで非常に盛り上がったのを見て、テレビでのネタってこういうところを望んでるんだなあと思いました。マツモトクラブが爆発したのは、Bブロックが低調・中だるみしたってところに敗者復活の勢いとわかりやすいネタがマッチしたのかもしれない。本日二度目の拍手笑い。

ここはマツモトクラブが優勢。関根さん、勝又、天野くんは救おうとしてるのか、あんまりウケてない人に入れる傾向があるね。

Cブロック
敗者復活はヒューマン中村。あ、やっぱりね。こればっかりはね。敗者復活があるって聞いてから、そうなんじゃねーかなとは思ってたよ。僕は粗品に一縷の望みを抱いていたけどダメだったよ。

なんでなんだ!よっぽど審査員にハマんないんだな!確かにテンポ悪かったけども!あれだけウケていてダメって観客投票の意味がー。それだったら最初から審査員ワンマンでいいじゃないか。

1:ノンスタイル石田
準決勝の項で「(進出は納得できないけど)どうせならちゃんとウケてほしい。じゃないと『ほらー!』ってなるから」って書いたんですが
ほらー!こうなるじゃーん!1人、すごいウケてた男の人がいたけど、あの人敗者復活にもいて
アルピー平子が「ゲラおじさん」って言ってたから有名な人なのかな?基本的に誰でもあんなだし
差分引いたとして、ウケてたとは言い難い。観覧で笑っていたとしたら、それは「雰囲気酔い」みたいなものだ。決勝前インタビューで「ネタ変えるかも」と言っていたので期待したけども、同じネタだったのでガッカリ。
まあやはりテレビに出ている売れっ子だけあって、準決勝よりかはズッコケるような出来には見えなかったけど、やはりボケの弱さが気になる。ノンスタイルのネタ担当は石田なはずだから、これはもう、うん。
Vで石田さんが決勝進出の報告に「マジか・・・」って言ってるのを見て可哀想と思ったし、その横で「良かったな!」と称えてる井上を見て健気かよと思ったし、本当準決勝でスベった芸人を決勝に上げる審査員の罪は大きい。
それと、前にキングオブコントの項でも書いたけど、単独ライブでウケたっていうのは自信にしちゃだめだね。その芸人のことが好きで来るから笑ってくれるわけだし。例えつまらなくても。

2:やまもとまさみ
やはり、昨年よりかはキャッチーかなと思いますけども。設定が現実的なのが好きか、非現実的なのが好きか。一つ言えるのは、現実世界の中に非現実的な設定・キャラクターを入れると「滑稽」になりやすいというところ。これは「笑い」にするのが難しい。その辺は熟練の技が必要。
昨年なんかは「滑稽」に近かったのでは。
あと、思ったんですけど、昨年の岩城滉一とか今年の小柳ルミ子の下りとか、そういった微妙なチョイスの方が面白い。

3:じゅんいちダビットソン
このネタってかなりリスキーなネタですよね。コントの中身が面白いわけではないし、そのあとの説明文が面白いわけではない。極めて普通のことを言っているネタに「本田」というフィルターをかけ
アメリカンかぶれキャラをやっていたときから培った「普通のことをどう馬鹿馬鹿しく見せるか」という技を見せる。きっと、出始めや昨年にこのネタをやっても、ここまで評価されなかったかもしれません。
ある程度、じゅんいちダビットソンというのを知った上でないと、このネタは笑えないかも。
「こういったことを言うのがネタ」という予備知識がね。それと、準決勝やった後にアギーレが解雇されたので時事ネタみたいになってた!

4:ヒューマン中村
敗者復活でやっていたネタなんですが、これなあ。面白くないわけではないんだけど
ある程度、年が行った人や審査員のような人達はこういった卑屈ネタって嫌う傾向にあるんですよね。
ブラックジョークが評価されないように。反対に、お笑い好きや一般層というのはこういったネタが好き。
審査員なんかはこういった卑屈ネタは「安易」と捉えてそうですよね。見る側はそういったデメリットは感じないですから。
僕はこのネタ、今までヒューマン中村に対して「キャラクターがない」って言ってた側としてはキャラクターがあるネタだなって思った反面、逆に中山功太みたいに自分を埋もれさせてしまう一歩なんじゃないかなと危惧してしまいました。準決勝でウケてたネタはファイナルにいったときに取っておいてた模様。
まあ、その辺は難しいところ。

ファイナル
●ゆりあんレトリィバァ
ネタ前に、リリコが「アカデミー賞」のコメントを言ったとおり
世間的にはスピーチネタを望んていたのではないか。
アメリカあるあるというか、人物模写というのが好きな芸人なのね。外国語大卒ということで留学もしてるだろうから、外国人特有の表情だとか目の泳がし方というのが上手いと思う。
ネタは、ワンフレーズだけじゃちょっと弱いなあといったところ。宮迫は「芝居いるか?」といっていたけれど
それがなければ、平坦なネタで壊滅的な出来だった。

●マツモトクラブ
マツモトクラブは元俳優なんですけども、準決勝のときも少し思ったけど
元俳優の割にはあんまり声が大きくなくて、それでミステリアスの部分は演出できているけど最後の「本心だ」の部分なんかは声量があったら印象が違ったのでは、と思ってしまう。
これ似たような感想を昨年のミヤシタガクでも言ったなあ。どうにも被ってしまう。
ネタはこれまたポップで良かった。よくあるような「神様が口悪い」では無くて、キリストの下りとか「いや、いいんだよ?いいんだけどさ。あっちの方が先輩だし」と決して波風立ててないところが良い。
人の会話のように押し引きがあるなしでやはり、そのネタが締まるかどうかってあると思うんですよね。
これ、去年のおぐのネタでもちょろっと言ったんですけど。あ、おぐとマツモトクラブは事務所同じだ。
ネタも近い構成だし、SMAの方針なのかな?ハリウッドザコシショウは無視します。

●じゅんいちダビットソン
受話器が見えた時点で「あ、これ優勝だわ」とわかってしまった。
一回戦で「キャラ」を明示したうえで、このネタをやったらそりゃウケるだろう。
確かこのネタ、本田キャラで出始めのときにやってたネタですよね。ある意味、勝負ネタ。
その時よりもやはり、キャラクターを知っているからか受け入れやすさというか面白さが増したような気がする。煮物やみりんの下りなんか特に。このネタを見て、どうも今年の本田ネタは昔のアメリカかぶれをやってたときのような粗さがなく、セリフ回しや喋り方が上手くなったような気がする。2~3年やってきてフィットしてきたに違いない。

というわけで大差でじゅんいちダビットソンが優勝。

桂分枝が言っていたけれど「物真似の域を超えて、構成がよかった」と。
そう、もう物真似ではない。じゅんいちダビットソンのキャラクターになっている。そこが昨年との違いなのかもしれない。


まとめ
R-1はいつも低調な大会が多く、見る方も罰ゲーム、優勝しても罰ゲームというのが多かったけれども
今年はだいぶ良い大会だったのでは?少なくとも僕は満足しましたけど。
もしかしたら準決勝を見ておいていたから、かも。決勝で微妙でも「準決勝ではこうだった」というフォローが出来ますからね。
あと、今年は決勝進出にクエッションマークが付いた人達は軒並、悪い結果が出ましたね。
かといって、一昨年や昨年のように無名でもウケてた人を上げても微妙だったりするし
こればっかりは蓋あけてみないとわからないですね。

今年はスポンサーもなく、審査員も減り、番組規模も縮小しましたけど
一周回って、R-1はこれぐらいでいいんですよ。他の賞レースに対抗することはない。

あと、R-1は「つまらない」と言われ、まぁまぁ良かったのではと思う今大会でさえ言われてるわけですが
漫才のツッコミ、コントのセリフのようなものがピンネタにはなく、「補完能力」が問われるからなんじゃないかと思いました。この「補完能力」、当然人によってレベルに高低があるし、補完の仕方も違うわけですから、ピンネタを見て、千差万別の受け取り方になるのも致し方ないのでは。
そしてこの「補完能力」は、色んな芸人のネタを見れば見るほど養われていく。つまりはそういうことです。