いまさらのR-1感想。出来るだけ手短に、そして熱く語りたいと思います。


●審査員
キム兄ってバックボーンなんなん?と思ったんですが、構成作家なんですね。知らんかった。
ポイントとして押さえたいのは、桂三枝と板尾、ラサールでしょうか。
「西の感性」「東の感性」ですね。


●システム
今年も変わりました。ま、長々やるよりかはいいんじゃないでしょうか。
そういえば、今年は敗者復活がなかったですね。その分、出場者が多かったんですが。


それでは、早速感想に。もし、自分が点を入れるとしたら何点か名前の横に記しておきます。(審査と同じく、持ち点3点です)

Aブロック

●友近
基本的に「キャラ推し」が苦手なのですが(このキャラクター面白いからこのネタ面白いでしょ、という関西に多く存在する手法)、今回のキャラクターは割とそういう風には感じませんでした。
バラエティでは、この演歌歌手キャラをよく見ますが、1人ではあまりキャラクターの良さが出せませんね。だいたい2人以上の絡みで、真価を発揮するような感じがします。(中川家の礼二とか)

友近のネタの割には構成が乱雑で、それでいて自分の好きなことに徹していたような気もします。決勝会見で言っていた、「豆腐を持って踊る」というのは本当だったんですね。

不思議と好印象のネタでした。何故?完璧ではないから、でしょうか。普段のネタは小道具、キャラクター、ストーリー、オチとしっかりと用意してあるイメージがあります。逆に言えば、それらはしがらみになり得る可能性もある。
本当は普段のネタも自由にやっているんでしょうが、普段のネタが苦手な僕には今回のネタは違う印象を与えました。

●野生爆弾 川島(2点)
一票だけ入れていた、桂三枝が印象的でした。何がツボにはまるかわかりませんね。

いくらキ●ガイみたいなネタであれ、これは「才能」であって評価するべきなのかなと思います。「わからないからつまらない」というのはあまりにも安直。自身の知識の無さと想像力の無さを後悔せよ、と思います。
くーちゃんだけに限らずね。ただ、この手の芸人の評価をする際に起きる「評価してる俺かっこいい」という風にだけはならないように気を付けなければいけませんね。

最後のシンセサイザーの音は割と使いますね。好きなんでしょうか。

●AMEMIYA(1点)
「赤ちゃん乗っています」
いつも思うのですが、「新鮮さ」ってそんなに必要でしょうか。「同じスタイル」ってそんなに悪でしょうか。それこそ野球の球速問題であったり、グラビアアイドルのカップ数問題と同じことでしょう。
塩梅ってものがあると思います。

確かに、「飽き」というのは人それぞれなので、言及は出来ないのかもしれませんが、僕は今回のネタに「安定感」を求めました。

「赤ちゃんが乗っています」→「天パーが乗っています」のシフトは普通に面白いなと思いました。ふつーなことをふつーにやれるのは芸人として正しい道だと思います。賞レースには向かないかもしれないけど。

●cowcow 多田
僕やっと気づいたんです。自信満々に放つギャグが大嫌いだと。
FUJIWARAの原西のギャグも苦手だし、今回の並列で「ネタとしての構成」になんの工夫もないギャグ発表会も生理的に受け付けませんでしたね。
FUJIWARAは藤本のハサミのギャグの方が好きです。
サバンナの八木は自信満々にやってますが、ミステリアスなので好きです。
昔流行った、猫ひろしのギャグ百連発は意味不明だったので好きです。

こうして見ると、ナンセンスが好きなんですね。ナンセンスでもセンスのあるナンセンス。考えた上でのナンセンス。上っ面で笑えるギャグは笑えない、ということです。

細かい感想は決勝の欄で。

Bブロック

●サイクロンZ(1点)

ちょいダサなダンスと共に、勢いでマジックをするネタ。

リング三段オチとか、絶妙なタイミングで出てくる傘など
「実はちゃんと考えてるのかも?」というネタ構成が面白かった。
時が立つごとに汚くなっていく舞台、などビジュアルとしても良かった。

が、ワハハと笑えるものかどうかは難しいところだろう。そういう意味じゃ玄人受け、特に東京の笑いに精通している人受けのネタなのかもしれない。

ラサール石井がそこのポイントを押さえて講評していて、関西と東京の審査員半々にしてくれないかな、と思った次第。

●いなだなおき(アインシュタイン)

本ネタと心の声のバランスですよね。顔が不細工なことはわかりきってるから、そこで自虐というかネガティブなことを聞きたくない。
むしろ最初から最後まで明るい方が、構成としては良かったんじゃないでしょうか。もし仮に、自虐を入れるとしたらフリップの方で表現するとか
もっと、いい方法があったんじゃないかと思ってしまいます。

カメラワークで思ったけど、このネタすごくあらびき団っぽいね。
完成度的な話で。

●徳井義実(チュートリアル)2点
ヨギータとは・・・。
前回のヨギータはキャラ造りが強すぎて、好かんかったのですが
今回ほど哀愁のある感じならアリかなーと思いました。
というか、このブロックがあまり笑いが少ないブロックなので安心したというのが本音かも。

審査員も入れざるを得なかった感がありますね。

●キャプテン渡辺
「有馬記念で180万勝った」の時点でクズじゃない気がします。
勝ち組だと思います。
去年出たときは「本当にフリーターでクズみたいな生活してるんだなあ」というリアリティがあったんですが、競馬で勝ったと言われちゃあ
あんま感情移入できませんね。スッた話なら良かったかも。
テンポの良さも出てませんでしたしね。

Cブロック
●千鳥 大悟(1点)
自分が広島生まれなので、岡山弁での進行に全く違和感がありませんでした。
むしろ、心地いい感じはありましたね。「誰なぁー、わしの七万盗んだんわ!」

フリップネタと思わせて、1人コント。

僕はこのネタ好きですけどね。ベタと言えばベタな感じですけど。方言補正でしょうか。フリップの下品ワードも、はなっから狙ってるナンセンスだと思いますし。
強いて言うなら、最後のキャンタマのところは暗転が良かったと思います。
キャンタマ見せてフェードアウト。字面にすると変態っぽいですけどね。

こういう基本に忠実ながら喜怒哀楽のあるネタを、なぜ漫才で出来ないのでしょう。なぜ、漫才はあんなにもくどいんでしょう。

●ヤナギブソン(プラン9)1点
プラン9はピン芸人の集まりなのかな?って思うぐらい、しっかり1人コントをやっていました。

元々は4分以上のネタでしょう。全体的にローテンションだったのがわかりにくかったのかと思うのと、yahoo知恵袋やその辺のネット知識が
果たして審査員全員に理解されたか、ってとこですね。

ワード力は高い方だと思います。ですが、あまり爆発しませんでしたね。
ややアングラな雰囲気があるからでしょうか。

●ヒューマン中村
既視感がはんぱないですね。中山功太、バカリズム、下手したら前の人がR-1でやってたんじゃないか、と思うぐらいです。

上記の理由で、いまいちテーマに乗れませんでした。「新鮮さ」は正義か?と述べましたが、フリップ芸なら一度は通るだろう「日本語を英語に」という部分で考えるのは少し難しいです。

ただ、観客・お茶の間は「新鮮さ」を感じたんじゃないでしょうか。
正直、全出場者で一番面白かったのこの人ですよ。一般受け(ネットお笑い通も含めて)するし、「クララがtap dance」とか次の日に友人に使いたいですもんね。
その意味じゃ、M―1ともKOCも同義で、「次の日に友人に喋っちゃう」っていうネタをやった人が優勝し売れますね。

構成的な意味では、北斗の拳の「debut」を前の「now on sale」に被せてくれたら良かったなと思います。まぁ、「この発想見たことあるな」と思った時点で笑える姿勢にならなかったので、ちょっと感想がしにくいです。

●スギちゃん(1点)
正直、何が面白いのかわからんのですが(悪口でなく)、笑ってしまうんですよ。一つ言えるとしたら、「間」の勝利でしょうか。
心理学に「高いところの橋を渡りながら、向こうにいる女の人を見たら好きになってしまう」なんて話がありますが(要はドキドキが恋だと錯覚する)、スギちゃんの綱渡り的な「間」やネタを見ると、それと近しい感情になるのかもしれません。根拠はありません。

後はあれですね。お笑いブームってのは不景気や災害の後に来やすいんですが、世の中が「スギちゃん」のような芸人を求めてるのかもしれません。
・あまり考えず笑える
・人を馬鹿には決してしない
・人の良さがにじみ出ている

そういう意味では、「構成」や「鬼才」「言葉遊び」なんてものより、あさーく見れて下らないぐらいがちょうどいいんじゃないでしょうか。お笑いってのは。


決勝

●cowcow多田
R-1のRの意味として、このネタの構成力にケチつけようかと思いましたが
上記で答えが出てしまった感がありますね。くだらないギャグをひとしきり並べただけのネタですが、ギャグはよく出来てると思いますよ。
決して「ネタ」はうまく出来てるとは思えませんが。

●徳井
ビジュアルで訴えながら、真面目なことを述べるというのはすごーく好きな表現方法です。その中でも、言葉と見た目を繋げていく進め方はなかなか上手いなと思いました。
ただ、予選でも思ったんですけど、やややっつけですね。背信行為。
「なんか、決勝出ちゃった・・・」みたいな感じなんですかね。準決勝、あまりウケがよろしくなかったみたいなので。

●スギちゃん

「マイルドだぜぇ~」も好きです。持ちネタが少ないというのは、早めに対処しなければいけないところだと思います。


キム兄のは、もう仕方ないでしょう。多田の方がフラットな気持ちで見たら、面白かったはずだしね。

エンディング。徳井の「タレント」力はすごいなあと思いました。パンティーをハンカチとして与えるとは。スギちゃんも「泣き上戸」キャラで好印象だったし、1人真面目にネタをやり、真面目にコメントしたら多田が浮いてしまった感。


●総括
去年より結果には納得いきませんでしたが、大会としては去年より面白かった。色々考えることがあって。もちろん面白くないという意見は多数出てくると思うけど、個人的には決勝の3人がドラマ性など含めて最善だったとは感じる。
スギちゃんはこれからテレビに良いように浪費されるわけだけど、うまく立ち回ってほしいなあ。レポーターとか似合いそう。



以上、感想でした。長文・雑文失礼しました。