『Chef〜三ツ星の給食〜』では、誰もが一度は味わってきた"学校給食"をテーマにしています。
ドラマを見ていると、光子(天海祐希さん)や荒木(遠藤憲一さん)を通して、今まで知らなかった栄養士さんたちの工夫や子供たちへの思いが伝わってきますよね
今回は、『Chef〜三ツ星の給食〜』で、給食を考案・監修・調理指導している栄養士の松丸奨さんに、光子が作る給食についてのお話をお伺いしました
◆◆◆
――光子(天海祐希)たちが作る給食を監修されています。ドラマで給食を見せる上で、どんなことを心がけていますか?
僕の希望としてお伝えしたのは、なるべくリアルな給食を再現していただきたいということです。衛生面や栄養管理の部分で、学校給食にすごく細かくて厳しいルールがあることを、一般の方はご存じないと思ったからです。
実際、レシピも僕が勤務する小学校と同じものを使い、味もそのままで作っていただいていたりします。2話で登場した「さんまの生姜煮」が子供たちに不評だったというのも、僕が体験したほぼそのままです(笑)。その後、臭みや骨を柔らかくする工夫をして、ドラマのように「美味しかった」と言ってもらえましたが。
――第2話では、水が床にこぼれると湿度があがり食中毒の原因になるかもしれないから、水は一滴でも落としてはいけないという厳しいルールも放送されました。
僕は病院食を作る現場にもいましたが、給食のルールはそこに負けていないくらい厳しいもので、衛生面に関しては一般的なレストランの比ではない気がしています。
給食室の特徴は、前室、検収室、下処理室、調理室、配膳室、洗浄室と部屋が分かれていて、その部屋を移動するごとに、手を洗い、エプロンや靴も変えなければいけないこと。食缶に配缶をする場合は、また別のエプロンになります。ドラマでもいくつかの工程に分かれていて、その都度、エプロンや靴の色も変わっているんですよ。僕が勤務する学校はさらに厳しくて、6工程くらいに分かれています。
――天海さんを始めとした役者のみなさんも、そのあたりの大変さを痛感されているようですね。
調理室での撮影は、実際に火を使うため暑いのですが、みなさんしっかり帽子とマスクを着用して、髪の毛一本も出ないようにしてくださっています。台本に書かれていないことでも、役者さんが気にして「先生、こういうときは実際どうなの?」と聞いてくださることも。そこで僕が「実際はこうです」とお伝えすると、「じゃあ、そうしようよ」と採用してくださったり。ドラマの演出上、難しい部分はあっても、すごく丁寧に作ってくださっていると思います。
――ドラマの給食チームは個性派の面々ですが、実際、給食づくりに携わっているのはどのような方なのでしょうか?
みなさん子供が好きで、子供たちに給食を作れることを誇りに感じているような方ばかりです。ドラマでもあるように、子供たちに「今日の給食美味しかったよ」なんて声をかけてもらえることも多いのですが、そんな言葉や笑顔を「ご褒美」だと感じる方が多いようです。
光子さんは給食でも絶対に手を抜かず、「最高に美味しい」ものを目指そうとしていますが、あの気持ちは僕自身もよく分かります。
――今後はどんなメニューが登場しますか?
ドラマ流にどうアレンジされているか、僕も楽しみにしていますが、僕自身が体験した困ったエピソードなどをレシピとともに提案しましたので、そういった問題とその解決策みたいなことも描かれていくのかな、と思っています。
僕たちは、毎日の給食でたくさんの野菜を使いながら、子供たちの好き嫌いを直すということを実践していかないといけないと思い奮闘しています。見てくださる方には、光子さんのように給食作りに情熱を傾けている人たちがいることを知っていただけたらいいな、と思っています。
◆◆◆
当たり前のように子供の頃に食べてきた「シンプルだけど、最高に美味しい給食」は、栄養士さんのたくさんの思いが詰まったものだったのですね
天海祐希さん演じる光子がドラマ内で作った給食レシピはこちらでも公開中ぜひ、チェックしてみてくださいね
☆天海祐希さんの給食レシピ紹介☆魚嫌いな子供もパクパク食べられる「さんまの生姜煮」
☆天海祐希さんの給食レシピ紹介☆親子で"最高に美味しく"食べられる「ナポリタン」
☆天海祐希さんの給食レシピ紹介☆栄養たっぷりなお豆を美味しく食べられる「青のりポテトビーンズ」
☆天海祐希さんの給食レシピ紹介☆野菜たっぷり&ふわっふわの「洋風厚焼き卵」
松丸奨(すすむ)さんプロフィール
栄養専門学校卒業後、栄養士として病院食の栄養献立作成や栄養管理に携わる。08年から小学校に勤務し、13年には「全国学校給食甲子園」で参加2266校の中で優勝する。今年春より、現在勤務する文京区の小学校で栄養士を務める一方、各メディアに出演し子供の食育の大切さを訴えている。