8月末に乳がんの手術日が11月8日と決まってから
仲の良い友人たちにはがんのことを伝えていった。
以前の富士子は仕事中心の生活だったので
付き合う人たちも関係者ばかりだったが、
2年前に仕事のことで悩んで鬱を患ってから
プライベートも重視するようシフトチェンジしてきた。
そのころから趣味で着物を着るようになり
着物イベントで出会った趣味友も増えていた。
着物友や以前からの友人合計9人に告知した。
手術日決定と同時期に恋人にフラれてしまったので
その二つの出来事を一緒に報告する形になった。
みな両方ともビックリしていた。
富士子のモットーは「転んでもタダでは起きない」。
入院するなら病院ライフを楽しんでやれと思っている。
静岡県立がんセンターには最上階に展望風呂がある、
せっかくだから入りに行きたいし、
病院のご飯もどんなか楽しみだ。
そんなことも話したので、
「これぐらい元気があれば大丈夫だ」
とみんなに言われた。
むしろ彼のことがまだ吹っ切れなかったので
「またいい出会いがあるよ」と
そっちの方を慰めてもらっていた。
「がんセンターの展望風呂に入りたい」なんて
お気軽なことを言っていられるのも
がんがごく初期でだったことに加えて
今、身体的苦痛がなにもないからこそだと思う。
でも手術した後に後遺症が出てくるかもしれない。
手が上がらなくなったり、傷跡が痛んだら
好きな着物を着られなくなってしまうかもという一抹の不安もある。
でも、対策ができないものを先走って一生懸命悩んでも
どうしようもないし、精神的に害になる。
これは鬱になった経験から学んだことだ。
だったら今のうちにたくさん着物を着て楽しんでおくべき!
スケジュールの許す限り、誘い誘われ
着物でもそれ以外のことでも今まで以上に積極的に遊びに出かけた。
誘われた日が入院期間中に当たることもあった。
がんを知らない友人からの誘いの場合は
「どうしても外せない用事があって・・・」と
歯切れの悪い断り方になったが
告知していた友人だった時には
「私その時がんセンターだよ」と返事をする。
「ごめん、富士子さん元気だから入院することすっかり忘れてた」とか
「手術日帰りじゃないんだね」と言われたが
私にとってはうれしいことだった。
さすがに全身麻酔をする手術は日帰りは無理だろうと思うけど
今に医療技術が進めば日帰り手術もできるようになるのかもしれない。
その前にがんのこともほかの病気と同じぐらい
気を遣わらずに話せる世の中なってくれるといいな~と思う。